ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑩

ホストクラブにきて思ったのは、自分が指名したホストより、ヘルプと呼ばれる男の子と話す時間が長いことだ。
夏樹もカイトも私やボスの様子をみて察したのか、当たり障りのない会話をしてきた。
今日Sが買った私のブランドカバンや洋服、ボスのスーツなど、どこで買ったのかや好きなブランドの話などをしていたとき、カトウアイがやってきた。

「はじめまして、カトウアイです」そう言ってカトウアイは名刺をわたしとボスに渡してきた。

「サキコちゃん、今日はきてくれてありがとう。」
「こちらこそ、アイ君に会えてうれしいよ」
「三上さんもご来店ありがとうございます。」
「サキコがどうしても行きたいと言ってね。僕もホストクラブに行くのは久しぶりだから少し緊張しているよ」

「そんな緊張ないてくださいよ。たくさんお酒を飲んで楽しみましょう」

そう言って私の隣に座った。

私はスマホを開くと時間は21時30分になっていた。ここから22時になったら一旦ボスはトイレにたつ、そして戻ってきたタイミングで仕事ができたといって、帰るという流れだ。
この時ボスから現金200万を貰い、私のカバンに入っている300万と合わせて500万の会計、そしてアフターにいくという流れになっているが。
必ずしもその日に高額な金額を使ってもアフターにいけるとは限らない。
よく動画で流れてくるホストあるあるのひとつだ。

シャンパンを5人でわけたあと、すかさずボスが声をかける。
「このシャンパンはサキコがいれたシャンパンてことなら、俺もいれないといけないよな?」
明らかにSからの指示で言わされているのがわかるが、私も答える。
「そうですよ!三上さんも頼みましょうよ」
「じゃこの30万のシャンパンにしようかな」

「えっいいんですか?ありがとうございます」

「サキコが気に入っている子だからね。たくさん飲もう!」

「ありがとうございます。サキコちゃん、三上さん、コールはされますか?」
ホストクラブのコールというのは、コールタイムのときにホストの応援をマイクでお店全体に話すというイベントだ。お店のホスト全員で音楽にあわせて声をかけるので、自己満足感があがるらしいが、被りという同じ指名客にマウントをとるのにも使われるため、女同士の争いでもあると動画でみた。

「コールはしません。恥ずかしいので・・・」「そうだね、僕もしないよ」
「分かりました、それじゃ・・」
話そうとした瞬間別の黒服に声をかけられていた
そして
「ちょっと待っててね」というとボスから見えない角度で私の太ももを触って去っていった。

慣れているな・・と思っていると夏樹やカイトがまたはじめだした。

これが何回も続くと面倒だな・・・江戸時代の吉原もこんな感じだったのかなと別のことを考えていた。
















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