ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑫

23時40分になり、急に雰囲気の違う音楽がかかりはじめた。
そしてお店のモニターというモニターにカトウアイがうつっている。
どうやらカトウアイが今日の一番の売上をとったらしい。
確か今日の一番の売上の人は歌うってきいていたようなきがしたが、不思議そうな顔をしているとカトウアイが戻ってきた。

「ありがとう。サキコちゃんのお陰でラスソンとれたよ」
「本当におめでとう。そういえばアイ君は歌わないんだね」
「最近のホストは歌わない人も多いんだよ、あと俺、この曲がすきだし」
カトウアイがラストソングでかけている音楽が、今はやりの短編アニメのED曲だった。
「俺、ほかのお客さま送らないといけなくて・・・ちょっと待っててね」

そういうとカトウアイが席をたった。

そしてもう一度スマホに目をおとした瞬間、反対側の席にいた綺麗なお姉さんがホストに掴みかかっていた。
「なんで、ラスソンとれていないんだよ。わたし今日頑張ったんだよ??」
「ごめんって、まさか最後にアイが100万いれてくるとは思ってなくって・・・」
「いやだから、相手は関係ないんだよ。今日こそは私のアフターに付き合ってくれるよね」
「今日はミーティングがあるからちょっと・・・」
「そういって、この前被りとアフター行っていたじゃん。この嘘つき」
そういってお姉さんはお水をかけて、部屋を出ていった

修羅場だな・・・と思いながら、カトウアイがくるまでまた夏樹たちと話していた。

お店はどんどん暗くなり、お客様も少なくなっている。

わたしはお手洗いに立とうとした瞬間、わたしはSからマイクで止まるよう指示を受けた。
どうやらターゲットがビルの入口近くに現れたとのこと、ボスが対応するとのことだった。
いったいボスが何をするのだろうと思っていたが、カトウアイが席にもどってきた。

「それじゃ、いこうか」
「うん・・・」

わたしはカトウアイに連れられ受付に向かう。
コートを受け取り、カトウアイに着させてもらった。
そして、カトウアイがタクシー呼ぶからちょっと待っていてと伝えていたので、エレベーター前でまた夏樹たちと話はじめたが、すぐカトウアイがもどってきた。
カトウアイも荷物を持っているため、本当にごはん食べにいくのか・・と改めて実感していたところ、エレベーターの扉が開き、二人で乗り込んだ。

その間、ボスがターゲット付近に近づきそそのまま警察に通報したらしい。
怪しい女の子が刃物を持っていると伝えたところすぐ警察がきて、ターゲットに職質したらしい。ターゲットは警察を振り切ろうとして騒ぎはじめていたが、何もないと告げると逃げるように去ったとのことだった。

ボスが入口が見えない位置に誘導したたため、私とカトウアイが出てくる様子は見られてはいないとのことだった。

ボス、ありがとう。


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