何種類の声がある?
子供が急に言い出した。
「私の声って可愛い?」
なにそれ?どういう意図?何かのひっかけ??疑心暗鬼にかられて答えに詰まっていると
あ、じゃあさ
と、角度を変えた切り口で話し始めた。
「自分には6種類の声がある!」
「へぇ」
なぜ急にそんなことを言い出したのか、気になったがいまはどんな声が出せるのか?の興味の方が強く、すぐに質問した。
「どんな声が出せるの?」
「えーと、可愛い声。怒った声。悲しい声。面白い声。大きい声。猫みたいな声」
と自信ありげに言い切り
「ニャー」
と言って見せた。
「なるほど!そういうことね」
説明されて、子供が言いたいことが少し分かった。
「ママは2種類だよね!」
と言われておどろいた。
「あ、そうなの?
そうだったのか! わかった。
じゃあ一個目の声を出してみるね」
一個目の声は
夜、布団に入ってぬくぬくして“眠ろうね”の時の猫撫で声を出してみた。これは1日のうちで寝る前にしかださない声。
それを聴くと子供は納得顔で「うん」と認めてくれた。よしよし、一個目OKでたよ。
「じゃあ2個目いくよ」
と言ってはみたものの、普通の声をふつうに発するのが急に出来なくなってしまった。
男子学生が恥ずかしそうに3人ぐらいで「せーの」で好きなアイドルの名前を呼んでいるような低い声が出てしまった。
ちょっと自分でも意外な声だった。普段そんな声は全く出さないので、てんぱった結果の声であり、自分が分かってない人間の、明らかな失敗だ。
子供は大笑いした。
「そんな声じゃない!」
「だよねっ!」
焦りつつも間違いを認めて
「ごめんごめん、間違えたわ。もう一回やってみる、じゃあ一個目からいくね」
うん、と頷いて待ってくれる。
一個目はうんと甘えた声だ。
子供に早く眠って欲しいのでリラックス出来る自分至上一番優しい声。勿論今回も承認を得られた。一個目は合格。
「二個目にいくよ」
さてここで自分の声を考えて発せなけれならない。子供は私の発する声を期待しているぞ。どんな声だ?自分はどんな喉の状態で声を出しているんだ?
??そんなこと意識したことあった?日常生活でそんな事考えた事なかったよ!!子供って色々考えるんだなぁ〜
頭が真っ白になった。
そしてまた男子応援団が元気よく「押忍」と返事するような声を発した。
子供大爆笑だった。
普段わたしが真面目なのでボケたと思われて楽しんでいただけた。
「いやーいつもどんな声してたっけ?」
本音をこぼしつつ自分も笑う。
それ以上は子供の追求は無かったので助かった。
今回の件、関連する事項としては
子供が年少さんの頃「ママって笑わないよね」と言った事件
それ以来の衝撃だったかもしれない。自分は二種類の声しか発していなかったなんて!
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