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ど素人がZINEを出すまで

昨年の11月、ゼロからZINEを作った。

ゼロからというのは、正真正銘生まれて初めて同人誌なるものを錬成した、という意味。作ったのは100ページ、8万字弱のA5サイズ2段組。ありがたいことに、装丁を褒めてくださる方もいらしたし、自家通販だってできた。それで思ったのだ。ZINEって、やろうと思えば誰にでも作れる! しかも、思ったよりは簡単に。

だから、私が辿った過程をここにざっくりまとめておこうと思う。特に今回はスキクロ2(自問自答ファッション愛好家=自問自答ガールズのWEBイベント、スキップインクローゼット2)を5月に控えていることもあり、どなたかのお役に立てばという思いと、一人でも多くの方の冊子を目にしたい!(私が)という気持ちで。


出版企画書を考え…たとは言えない

えー、出だしからのけぞり、そしてズッコケていただけたでしょうか😜

「本を書く」っつったら、やっぱここはひとつ「出版企画書」なるアレ、いっちょ考えてみようじゃないの! と何を思ったか大上段に構えてしまった不肖ワタクシ。このご時世、ちょっとググれば情報は出てきますわね。…ふむふむ、誰を読者ターゲットにするか。企画意図は何か(作った本を読んだ人がどうなるか)…。

一応ふんわ〜りと考え、なんとな〜く書いてはみた。が、結論から言うと、その「企画」とやらが完成したZINEで達成できたのかはイマイチよくわからない😇

と言うのも私、何を隠そう計画を立てるのがめちゃくちゃ苦手な人類なのだ!

なぜかわからないけど、仕事でもプライベートでもこれ系のものを事前に書き出そうとするともんのすっごい薄っっっっっぺらいふんわりしたことしか書けなくて、自分でも「はぁ? お前何言ってんの?」ってなって、挙げ句の果てに書いたことと全然違うこと(でも書いたことより中身はある)をやってる、ってことばかり。

今回も正直言うと、ZINE書いてる最中はこの「企画」のことは100%忘れていた。それでも一応完成したし、嬉しいことにそれなりに反響をいただくこともできた。だから…というのはさすがにちょっと暴論かもしれないけど、でも書いちゃおう。別に出版企画書とか事前に考えなくても、ZINEはできます(それはそう)。

本の体裁を考える

気を取り直して(?)、紙の本として大きさ(B5? A5? A6?)をどうするか。

ちなみにオフィスや学校で使う紙がA4かA3。A4を半分に折るとA5で、もひとつ半分に折ったA6は文庫本と同じサイズ。B5は、A4とA5のちょうど中間くらいのサイズ。ご参考までに↓

色々と見ていくと、文章メイン、かつそこそこ文字数のある同人誌はA5にすることが多いとわかった。実際、B5は少年ジャンプ(等のコミック誌)の大きさ、という情報を見かけてそれはさすがに大きすぎるなと思ったし、文庫サイズを選ぶとけっこう分厚くなってしまいそうな気がしたのでA6もパス。

で、A5となると、縦書き2段組にするのが一般的らしい。割と縦に余裕のあるサイズ感なので、1段組にすると1行が長くなり、次の行へと目を移動させる距離が伸びるから読み手が疲れてしまう、というのが理由。ふーん、と思いつつレイアウト事例をいくつかネットで見たら割と納得したので、体裁はA5・2段組に決定。

レイアウトに悩む&出版社が決まる

さて、問題はここから。

余白ってどうすりゃいいの? 段と段の間ってどのくらい開けるもの? フォントの大きさは? 同人誌なるものを目にしたことのない自分には、どれも全く見当がつかない。しかもちょっとググればすぐにエンカウントする出版専門用語にもう頭クラクラ。小口? ノド?? トンボ??? 断ち切り?????

…と、完全に宇宙猫になった私が巡り合ったのが、しまや出版様のテンプレート。

なんとびっくり、とりあえずダウンロードして文字を打ち込めばそのまま入稿できちゃう、というテンプレート(Microsoft Word)が用意されているのです!!! ありがたすぎる、親切すぎる、初心者の気持ちがわかりすぎている!!!

もう、これで私は自力思考を放棄しました😇 しまや出版様、お世話になります!

ちなみに、完成したZINEを手に取ってくださった幾人かの同人誌猛者の方々から「段組が綺麗ですね」「余白めっちゃ好みです」とお褒めにあずかりました!えーっと、 ↑こういう事情なので、全部しまや出版様のおかげです。なので、皆々様にも全力でオススメさせていただきます♡

とりあえず縦書きにしてみる

じゃ、Word縦書きって実際どんなもんよ…?

今回のZINEは今まで書き溜めたnoteの再構成で行こうと決めていた私。もうほぼそのまま掲載するつもりの記事もあったので、テンプレを入手した勢いで意気揚々とコピペして流し込んでみた。ら。

え…? なんか、全然思ってたんとちゃうんですけど……。

スクロール前提の横書きで書いた文章をそのまま縦にすると、なんていうかこう、五月蝿いのだ。太字が多すぎてあまりにもガチャガチャし過ぎだし、文章としても何だかとにかく読みづらい。拙すぎて、ア”ーーーッて頭掻きむしりたくなる。

もしかして、コピペするだけじゃ冊子として成立しないってこと…?

それに気づいて半笑い(この時点ではまだ笑ってる余裕があった)。いやでもなんか、思ったより山はかなり険しそうだぞ???

この感覚は完全に私の場合です。人によると思いますのでくれぐれも悪しからず!

書き下ろし部分の執筆

そこで私はどうしたか。

黙々と既出記事の加筆…ではなく、書き下ろしパートを書き始めちゃったんだね😇 なんで? バカなの?! 無謀にも程がある!!

というのも、ちょうどその頃心を占めていたテーマがあって、どうしても深掘りしてみたくてたまらなかったのだ。書けたらそれもZINEに載せようっと、くらいの気持ちでとりあえず書き始めたのは良かったけれど、これが予想以上にめちゃくちゃ難しくて…というくだりはZINEにもnoteにも散々書いた通り😇

ここでなんと、1ヶ月という大幅なタイムロス。

まぁ、今考えても結論はこれ以外にはなかったなと思うし、これが書けたことによって、ラスト目がけて全体の構成を組み立てることができたから結果オーライではあるのだけど。しかしこれで残り作業が完全にタイムトライアルになってしまったので、人には全く勧められない…というか、最早誰の何の参考にもならんよね😇

章立てを考える

というわけで、ここでようやく章立てを考えた私。

真面目に出版企画書を書いた人なら、もうとっくに出来上がってるはずだよね😇 やっぱり私は手を動かさないと物事のイメージが全くできない人間らしい。ともあれ、ラストが決まったことでようやく話の展開が見えてきた。基本的には時系列、でもところどころ入れ替えた方が良さそうなポイントの目星をつけてみた。

思いついた章立てをざっくりメモして眺めたことで、やっと手を動かせそうな気がし始めた(遅っ!!)。

納期を調べスケジュールを考える

えー、この時点でなんとびっくり9月末。ZINEを出品する予定のスキクロの開催は11月半ば。え、もしかして2ヶ月なくない? …と、ここで初めて不安を覚えた私。しまや出版様の問い合わせフォームから、恐る恐る「11月○日(←スキクロ間際)に納品いただくにはいつまでに入稿が必要でしょうか?」とお伺いを立ててみた。

またまたびっくり、何のジャンルの何のプランで申し込むのか一言も書かなかった(!)たわけ者の私に対して、「プランにもよりますが、文芸オンデセット(注:文字書きの初心者さん御用達プラン)でしたら、繁忙期以外であればおよそ1週間で納品可能です」と、懇切丁寧なご回答をくださったしまや出版様。え、早!

このご回答のおかげで、「1週間くらいはバッファを見て、ざっくり10月末までに原稿を完成させる」というスケジュール感を掴んだ。11月に入ったら内容ではなく体裁の手直しをするつもりで、それから入稿すればどうにか間に合うはず。あぁ…もう本当ありがとうございます! 絶対に絶対にお世話になりますしまや出版様!!

「やる気がなかなか出せないのに完璧主義で困っている」というマシュマロを投げてくださったご相談者様、ご覧になってますかー? こんな感じでギリギリでいつも生きている私が通りますよー!! 元気出してー😇(?)

ひたすらに執筆

はい、もうここからはひたすらに書きまくります。書いて書いて書きまくります。

何せね、3日で1章仕上げないと間に合わないペース。信じられます? 私は信じられません😇 noteをコピペして流し込み縦書きにしては稚拙さに絶望し、読み直しては加筆し削り修正し…の繰り返し。最初は右往左往していたものの、しばらく書いてるとなんとなく「縦書きの勘」みたいなものが芽生えてきたからびっくり。

怒涛の勢いで毎日深夜にコツコツ書き続け、どうにかこうにかオンスケジュールで、10月末に一応「おわりに」まで辿り着いた。ある種のハイ。またの名を狂気。正直、この時期は本当に無理しましたね。睡眠削りすぎ。もう二度とあんなのやらない。全部私の無計画さのせいです、反省しています、などと供述しており…

紙に印刷して読み直し、加筆修正

できたものは、紙に印刷してチェック。誤字脱字って、なぜかデジタルで見ていても気がつかないんですよねぇ。仕事とかでもそうじゃない? あと、紙で読んでみると文章の前後を入れ替えたくなったりもする。何というか、デジタルだと没入しすぎちゃうけど、紙だと程よい距離ができるような気がしている。

移動の時間も使わないと間に合わない、という身も蓋もない理由で11月2日のアヅマ屋さんに紙原稿を持参していたら、居合わせたガールズさん達に「ゲラじゃないですか!」って言われてちょっとドヤったのは私です。…違うんだよ、何もかもギリギリすぎるだけなんだよこの私のバカーーー!!

表紙・印刷紙などを選ぶ

はい。こんな調子ですからね、表紙なんて作ってる暇はございません。せっかくの手作り本なんだから表紙だって好きなものにしたい! って方からしたら、信じられない所業かと思います。私だってアヅマ屋で目にしたキラッッッキラのカンワイイ表紙に思いを馳せて涎を垂らしつつ、しかしもう残された時間も気力もない。

そんな私の味方、しまや出版様にはこんなサービスがございます。

なんとびっくり、追加料金なしでとんでもない種類のセミオーダーフルカラー表紙が選べるのです。やることは、表紙のデザインとタイトルのフォントを選ぶのみ。できたら海っぽいデザインにしたいな、と思っていたらまさにドンピシャのものがあったので、ありがたく選ばせていただきました。

これ、色んな方からけっこう褒めていただいたんですけど…こんな経緯なので1ミリも私の力ではないのです。しまや出版様には本当に足を向けて寝られません。

あっそうだ、実は第二刷で「遊び紙」というのを入れさせていただきまして。

左が第一刷、右が第二刷

表紙と中表紙の間に挟む紙のことを「遊び紙」って言うそうなんですけど、これがあるのとないのとでかなり印象が変わるなと思いました。ないと、表紙を開いた瞬間ものすごく唐突に中表紙が現れちゃうんですよね、ババン! て。たった紙一枚のことなんだけど、ワンクッション入ることで急に本っぽくなります。多分。

注意点としては、遊び紙として選ぶ紙の厚さが薄いと製本によってはヨレたり波打ったりする場合があるらしいこと。しまや出版様はその点注意書きをしてくださっていたので、私は第一刷ではビビってスルー。でも気になったので、第二刷で意を決してちょっと厚めのものを選んでみたら、綺麗に製本していただいて大満足!

ちなみに本文の印刷紙は「淡クリームキンマリ」です。ご参考までに。

入稿

そんなこんなで怒涛の入稿。しまや出版様には、入稿用のアプリまであるんです。

Wordの「印刷」機能でこのアプリを選択するだけで、入稿すべきサイズ感でPDF化してくださるという神のようなツール(詳しくはリンク先を参照)。しかも入稿にあたって問題のありそうな箇所をあらかじめメッセージで教えてくださるという…!(小さすぎる文字があるよ、とか画像の画素数が低すぎかもよ、とか)

これに従って修正する他、WordからPDFの変換によって文字とか行のズレが出ていないかは目で確認。納得いくまで直したら、いよいよ入稿(全てオンライン)。

これまた感動したのは、入稿の際に一言お願いしておけば、入稿の確認が取れ次第お電話をいただけること。私の場合は夜に入稿し、翌日午前中にはお電話をいただいた上、「数字やアルファベットで縦書きになっていない箇所がありますが修正されますか?」というご確認までいただきました(気力がなくそのままGOした)。

すごくない? これなら安心じゃないですか?

BOOTH開設

お疲れ様でした、無事にZINEができました…というところで、最後の関門はWebショップOPEN。なーんにも知らなかった私は、スキクロ開催者である鼻毛石ツトムさんに「本ってどうやってお送りすればいいんでしょう? 一人一人個人情報とか聞けないですよね…?」とお尋ねし、それで初めてBOOTHの存在を知りました。

世の中には便利なサービスがあるものですね…! pixivアカウントを作ればかなり簡単にショップが作れて、特に迷うこともなく自家通販の準備ができました。手数料も思ったほどはかからないし、送る側も受け取る側も個人情報を開示しなくて済むという(メルカリの仕組みと同じ。ありがとうクロネコ様)。

***

えーっと、ここまで長々書いてアレだけど、これ誰かの役に立つんですかね? ただただ私の無計画さを暴露しただけの記事になってしまいました😇

もうヤケクソで、そんな私の作ったZINEはこちらです↓

あ、マシュマロやってますんで、何かありましたらこちらまで(普通にお悩み相談とか受け付けております〜)(好きなおやつを教えてくださると私が和みます)↓


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