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八重桜 自筆の墓石 黄犬

楽しい時間、それはゆっくり選ぶとき。手紙の醍醐味のひとつです。

気がつけば、黄色ばかりに。

たんぽぽ、菜の花、ミモザの順。
こちらはシルクスクリーンの葉書です。発色が良く、縦書きにも横書きにもマッチする葉書。
季節の花がその時々に販売されているので、お花屋さんでお花を選び、手に取る気分でいつも購入しています。

ひなまつりの葉書も。


本格的な春は目と鼻の先ですね。

ふっくら優美な八重桜やチューリップも出番を今か今かと待っています。(ええ、私が書けばいいだけのはなし)

春も間近で心が弾むはずのこの時期ですが、先日悲しいニュースがありました。
日本文学者のドナルド・キーン氏が永眠なさったことです。

知の巨人と謳われるキーン氏ですが、対談やエッセイなどで垣間見られる周囲への感謝の気持ち、その謙虚な姿勢は黄金色に輝き実る稲穂のよう。私淑しています。
いつか東銀座(東劇)でお見かけ出来たらと思っていたのでとても寂しいですが、氏の御本はたくさんありますので、その一つ一つを今のお声と思い、これからも大切に読んでいこうと思います。

キーン氏は生前から、東京都北区西ヶ原にある弘法大師ゆかりのお寺「無量寺」にご自分のお墓を建てていらっしゃいました。
無神論派のキーン氏ですが、そのお寺は京都留学時代に知り合ったご友人(僧侶)の宗派でもあるそうです。人を動かすきっかけを与えるのは何事も縁かもしれません。

お墓には「キーン家の墓」と自筆の文字が刻まれていて、見事な八重桜の下にあるそうです。

しばらくは心の中で手を合わせ、落ち着いた頃、墓前に伺いたいと思います。

自由にできる時間があり、目の前にはがきや手紙があるとき。あなたはだれを想いますか。

用がなくても、美しいはがきを送るだけでいいと私は思います。(お忙しいのわかっているので、返事しなくていいからね なんてLINEで送ったりしてしまいます。)

忙しい人に、郵便受けを開けてふわっと和んでもらう、そんな手紙の送り方をすることが私の理想です。

あなたに1日もはやく、春の陽光が降りそそぎますように。

それでは、また。


注)本タイトルの「黄犬」とはドナルド・キーン氏が自らご自分の名前としてキーンの当て字、言葉遊びとしてよく表現なさっていたもの。養子縁組をした息子さんは浄瑠璃奏者での芸名が「淺造(あさぞう)」であり、像にもかけて、黄色の子犬の印がキーン家の家紋となっています。

#エッセイ #日本文学 #手紙 #はがき




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