#3 郵便局を通して、ウクライナのリアルを切り取り続ける。 #未来のためにできること
私は、郵便局が好きだ。
郵便局が美しいのは、戦時下のウクライナだって同じことだ。
ウクライナの人々は今日も、手紙や小包を送っている。国営郵便局であるウクルポシュタは、軍隊などに支援物資を送っている。激しい空襲を受けている東部では、今日も配達員が荷物を運んでいる。軍隊を支援するために、フィラテリーの商品を出している。
郵便局を見ると、その国のことがわかる。なにを大事にしているのか。どんなことがその国で起きているのか。その国のアイデンティティはなにか。
ウクルポシュタは、汚職のない会社を目指している。多様性を美徳としている。
郵便配達員は、今日も荷物を届けている。海外に避難したひとも多い中で、郵便は彼らと故郷をつなぐ大事な糸だ。
私は、ウクルポシュタが大好きだ。ウクライナ語の勉強をはじめたきっかけは、まぎれもなくウクルポシュタだ。ウクライナ語で自分の名前すら言えないが、「ウクルポシュタが好きです(Я люблю Укрпошту)」だけは言える。これが推しの力だ。
ウクルポシュタを通すと、偽りない日常がよくわかる。
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」
ユネスコ憲章の有名な文章だ。
戦争とは、ミサイルを誰かの家の上に落とすことだけではない。誰かを嫌うこと、無知と傲慢により相手を傷つけること、そういったことだって戦争を加速させている。憎悪をあおる投稿や、デマやプロパガンダやフェイクニュースも流れている。
悪意のある間違った情報や、誰かが植え付けた怒りに流されず、困っているひとに寄り添い、平和のとりでを築くために、私達には何ができるだろう。
その答えは、ウクルポシュタが教えてくれた。
ウクルポシュタは、市民の日常を支えている。従業員は前線で戦う兵士ではないが、後方で日常と経済を支えている。このようなひとは、経済方面軍と呼ばれるらしい。
私の目の前には、いとおしい日常がある。愛する家族や友人がいる。
それを大事にすること。経済を回すこと。世界のどこかで困っているひとに思いを馳せること。間違った情報に踊らされないこと。
その意味を、大事さを、私はウクルポシュタから教わった。
最後に、キーウでカメラマンをしている友人が送ってくれた、ウクルポシュタの本社の素敵な写真を載せる。
ウクライナでも日常が続いている。その美しさを切り取り、世界に発信したい。
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