ワタクシ流☆絵解き館その121 CMに用いられる郷愁の眺め―画家たちがやって来る場所③
上に掲げた南薫造の絶筆(モノクロ図版の絵)は、すでに、ワタクシ流☆絵解き館その116 画家たちがやって来る場所②で紹介した。南薫造がほれ込んだその美しい眺めは、時代を隔てて、CMで使われている。
今回はそれを紹介する。南薫造「瀬戸内」では正面に描かれているまだら模様の島が、ポスターの中では、横に長い島である。
南薫造「瀬戸内」の遠景にある島に、現在は、下のポスターに見えるように、しまなみ海道の橋が架かっている。まだら模様の島は、下のポスターでは、下方右部分に暗く沈んだ端部だけを見せている。
下のポスターの家並みの、山手側から南薫造は「瀬戸内」を描いた。手前の島が、絵の中のまだら模様の島。ポスターの手前の谷は、春には山桜が処々に開き山を美しく装う。
上のポスターの家並みの中間あたりに駅がある。その駅舎は、ソフトバンクのCM撮影場所になった。郷愁駅舎として鉄道ファンには人気のある場所だった。
残念ながら、3年前この駅舎は撤去されて、現在では存在しない。下の画像はそのCMのワン🐕シーン。
八天堂というクリームパンで名高いパンメーカーをご存じだろうか?その八天堂が、南薫造「瀬戸内」が描かれた町のシンボルである海中の鳥居を商品パッケージに用いている。一見写真に見えるが、「絵」である。後ろにあるのが南薫造「瀬戸内」のまだら模様の島。
下の写真は、実際の現地の風景。道路に面した海中に建っている。
筆者の住むふるさとを題材にした絵画やポスター探しは、これからも続けてゆくつもり。
令和4年3月 瀬戸風 凪