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2023/8/4 顔が見える人と見えない人たち

11:40 北本着

駅前でラーメンを食べる

13:00 観光協会へ

9月3日の上映会会場に市役所前しばふ広場が使えなくなってしまったので、代わりの会場を相談しにDさんのもとへ向かう。
市役所前の広場が使えなくなったのはつい先日。理由は、映画の内容をみた役所側から「市長批判にあたる」との判断が下ったこと。また市役所内外から、なぜこの映画を市役所で流すのか、というクレームが来るかもしれないので、その対策も理由の一つらしい。確かに、当時の市長に対する疑問の声が映像内には含まれているが、それは映画の主軸ではない。またこの映画上映会を市役所前で行う意味は、10年前に北本で様々な反応を呼んだ「北本ビタミン」について当時何が起こっていたのか振り返ることや、「北本ビタミン」を知らない市民が「北本ビタミン」について知るきっかけをつくることなど様々考えられるんだけどなあ、とモヤモヤ。ただ、担当してくれていた職員さんはじめ、企画を面白がってくれる人も役所内にはいる。顔が見える範囲なら話し合いができていたのに、組織となるとそうした人々が一歩後ろにさがってしまう。顔のない巨大生物がぬっと姿を現して、一方的に判断を押し付けられたような気分。
組織が決めた判断を私個人でひっくり返すのは限りなく難しい上に、上映会の日程が迫っているので、役所の判断に抵抗するのはやめ代替の会場を探すことにした。
Dさんに会場変更の経緯を伝えると、「まだ過去に向き合わないんだねー」とこぼす。役所からの上映不可の判断は、起きるかわからない問題を回避するために先回りしているだけで、明快な理由があるわけではないのでは、というのがDさんの見解。そうなのだろうと私も思う。
上映会準備がひと段落したら、市役所の人たちとゆっくり話す時間をつくれたらいいな。

代わりの会場に、北本団地のお祭り広場が候補に挙がった。Dさんが早速URの担当者に電話をして、許可申請をして下さる。とてもありがたいし、心強い。

13:30 市役所へ

映像確認用のDVDを回収しに市役所へ。顔見知りの職員さんが対応してくださる。「会場の件、すいません」と謝られる。「あと20年くらい時間が経てば上映できるんですかね?」と尋ねてみるが、うーん、という反応。時間が解決する問題ではなさそうだ。どうすればよかった/よいのだろうか。
会場の件は別にして、映像どうでしたか?と感想を聞いてみる。「面白かったです!北本ビタミンのこと、当時も役所にいたけどあまり知らなくて。今回まとめてもらって知ることができました」と感想をもらう。いつになったら「北本ビタミン」は、北本市の表側の歴史に浮上できるのだろう。

14:00 post

団地へ移動しpost で作業。インタビュー協力してくれた方々に、発言の確認のために映像をお送りしているのだが、その感想がぽろぽろ返ってくる。温かい言葉がありがたい。メールに返信したり、作業をしたり。
さいたまアーツカウンシルのディレクターで、さいたま国際芸術祭にも関わっている知り合いの方から、さいたま国際芸術祭の応援プログラムの枠に上映会を応募しないかとの連絡を頂く。捨てる神あれば拾う神あり。Dさん、Aさんに相談して、応募してみることにした。疲れたので昼寝を挟む。

17:00 B夫妻宅へ

映画確認用のDVDを持って、アトリエハウスの裏手に住むB夫妻のお宅へ向かう。会うのは、インタビュー協力していただいた去年の9月ぶりだ。私のことを覚えているかちょっと不安。
ちょうど夫妻ともに在宅中だった。「1年前にアトリエハウスについてインタビューさせてもらった屋宜です」とあいさつすると、「あー!いっぱいお土産持ってきてくれた子ね、覚えているよ!」と家にあげてくださる。
夫妻と私、3人で映画の冒頭部分と、アトリエハウスのチャプターをみる。「これ○○さん?年取ったわね」「あら、映画に出るならもっときれいな服着とけばよかった」なんておしゃべりしながら映像を眺める。
Bさん夫妻のインタビュー映像は、はじめ旦那さんのシャツのボタンが1つかかっていない。それをみた奥さんが「ボタン開いてるわ」と突っ込む。すると映像内の旦那さんがボタンを留めはじめる。「あら、私の声が聞こえたのね」と3人で笑う。
その後映像に触発されたのか、当時の思い出がぽろぽろ語られる。アトリエハウスによくいた○○さんも、△△さんも、よく家にご飯食べに来ていたのよ、と色々お話を聞く。
子どもたちが家を離れ、2人静かに暮らしていたB夫妻にとって、アトリエハウスは賑やかで、日常に爽やかな風を運んでくれる場所だったのだろう。
なんだかんだ2時間ほどおしゃべりをした。帰りがけ、奥さんがお手製のキュウリの漬物をお土産に持たせてくれた。
北本のお母さん/おじいちゃんだと思って、何かあればいつでも連絡してきなさい、と電話番号とLINEを交換する。

19:10 post で打ち合わせ

日が暮れてきた景色のなか、自転車で団地へ戻る。19時から post にて、上映会でドリンクと軽食の販売をしてくれる同世代の友達たちと打ち合わせの予定なのだ。
少し遅れて打ち合わせを始める。メニューや必要な準備物について相談。会場が変更になったことを伝え、何を出すか、メニューの分担について話し合う。
私は会場が確定しないことが不安で、細かいことまで頭を回す余裕がなかったのだが、同席した唯野がフォローを入れてくれる。細部を改めて詰める必要があるが、大体は決まった。
いろんな人に助けられているなあと改めて思う。市役所からはまだ見ぬクレーマーを恐れ上映不可の判断が下ったが、代替会場の相談に乗ってくれたDさん、孫のように可愛がってくれるB夫妻、一緒に上映会の準備をしてくれる友人たちなど、私の背中を押してくれる北本市民がまわりにたくさんいるな、としみじみ。

真っ暗になった団地のお祭り広場を、4人で下見に行く。ここにスクリーン、ここで出店、となんとなくあたりをつけながら歩き回る。ちょっと出店するには暗いかななど話していると、北本駅行の終バスがやってくるのが目に入る。慌ててバス停に走って、今日は解散。

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