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『宙わたる教室』伊与原 新(著)
新宿の定時制高校を舞台に、様々な事情を抱えた生徒たちと、理科教師・藤竹先生が科学部を結成。「火星のクレーター」をつくる実験を重ね、学会で発表する挑戦の物語。
学ぶことを諦めてしまった主人公・岳人が、再び知識を得る喜びを知り、未来へ踏み出していく姿が心に響く一冊。
2017年に実際の定時制高校の生徒が科学研究の発表会で優秀賞を受賞したエピソードをもとに着想を得た作品で、第70回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(高等学校)にも選ばれている。
【感想】
「いくつになっても始められる」ということ。
そして、「人の縁」がどれだけ大切かということ。
同じ環境にずっといると、自分の世界はその枠の中だけになってしまう。
しかし、一歩外に出てみることで、新しい出会いが生まれ、自分の可能性も広がることがある。
主人公の岳人は学習障害に気付いてもらえず、非行の道に進んでしまった。定時制高校は免許をとるためだったが、数学だけは休まず出席していることに、藤竹先生が気が付き…。
本当は学びたかったのに、環境や過去の経験から「どうせ無理だ」と諦めてしまっていた岳人だったが、藤竹先生と出会い、彼の世界は大きく変わる。仲間たちも同じように、それぞれの人生を少しずつ前向きに変えていく。
この物語は、
「学ぶことの楽しさ」や「夢中になることの大切さ」が伝わってくる。
どんな困難があっても、わくわくできることに出会い、そこに没頭することで人は前へ進める。
どんな生い立ち、環境でも、興味のあることに集中し、夢中になれるものを見つけることができたら、人生は必ず動き出す。
研究者でもある藤竹先生が素晴らしいのだけど…実はある実験をしている。
気になる方は書籍を読んでみてくださいね^^
静かに、でもじんわりと心に染みる一冊。
何か新しいことを始めたい人や、自分の可能性を広げたいと思っている人に、ぜひ読んでほしい本です。