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正夢

これは、朝ドラスカーレットを元にした私の妄想小説です。

八郎は喫茶サニーの扉を開ける。

「おう、ハチ、待ってたで」

信作が八郎を待ち構えていた。

「信作、どないしたん?わざわざ呼び出して。
んで、何でそんなかしこまった格好しとるん?」

話がある、と信作から八郎は呼び出されたのだ。そして、確かに信作は見慣れないお洒落なスーツを着ている。しかも、よく見たら、若い信作だ。

不思議に思っていると

「もうええー?」

サニーの奥から、聞き慣れた高い声が聞こえた。

「おお、ええぞ」

ぱぱぱぱーーん

奥から、喜美子の声が聞こえる。

え?

喜美子がウェディングドレスを着た照子を連れてきた。2人とも若い。

え?え?

照子は、信作の隣に立つ。
信作は、照子の肩を抱き、笑顔になる。

「ちゅーことや、八郎。
俺ら、結婚すんねん」

「えええええーーーーーーー!!!!!!!」

八郎は、息の続く限り叫んだ。

「だって、敏春さんは?ゆりちゃんは?」

「は?だれやそれ。
それより、俺らのことお祝いしてくれんのか?」

八郎を除いた3人で肩を組みながら、結婚行進曲を歌い出す。とても幸せそうだ。

八郎もつられて歌い出す。

「そっか!信作!照ちゃん!おめでとーーー!!」

そう叫んだところで八郎は目が覚めた。

目が覚めると、川原家の離れだった。

「ああ、夢やったんか。びっくりしたなぁー」

長崎に旅立って久しぶりに喜美子に会いにきたのだった。
面白い夢見たなあ…そう考えながら母屋に行く。

「おはようさん」

喜美子が朝食を作っていた。

「いただきます」

2人で食卓を囲む。

「さっきな、面白い夢見たわ」

八郎が先程の夢の話をした。
喜美子が目を丸くして話を聞いている。

「嘘やん…
ウチもな、信作と照子が結婚する夢みた。
サニーに呼び出されてな、行ったら結婚行進曲を歌いながら、信作と照子とハチさんで歩いてきてん」

「え?2人で同じ夢見たってこと?!」

2人は驚きを隠せなかった。

「まさか、ホンマっちゅうことはないわな」

八郎が思わずつぶやく。

「まさかあ…」

喜美子は、そう返すが、2人で目を合わせ、サニーの開店を待って2人で行くことにした。

2人でサニーに入ると、信作と照子が並んで笑いながらコーヒーを飲んでいた。

「うわ……正夢や…」

喜美子が絶句する。

「なんや、正夢て」

照子が聞く。

「あんな、正直に答えてな。
信作、照ちゃんと、その…良い仲になっとらんよな?」 

八郎がオドオドしながら聞く。

「は?????」 

信作と照子が声を合わせて言う。

「いやな、僕ら今日夢で2人が結婚する夢見てな。
2人が同じ日に同じ夢見るなんてあり得へんやろ?だから、まさか…と思って…」

「ウチと信作が?」

信作と照子は目を合わせて

「ないないないないーーw」

と同時に言って、笑い転げた。

その様子を見て、喜美子と八郎もそうだよな、と思い始め、つられるように、笑った。

しばらく笑った後、

「あー、おかしかった。
でも、夢って言えば、今日八郎さん出てきたわ。
なんや、歌手デビューするんやー!って張り切ってたで」

照子がついでの様に言う。

「え?
照子も見たん?オレも見た!
ハチ、えらいムーディーな曲でデビューしよったわ」

信作が続く。

「わははは!ハチさんがデビュー?
ハチさんめっちゃ歌下手やで!!ありえへん!
ないないないw」 

喜美子が大爆笑しながら答える。

「待て!それ言うたら、オレこの間、喜美子がごっつハンサムな男と結婚する夢見たわ。何でか、周りからは「キング!」って呼ばれてたぞ?」

信作が思い出した様に言う。

「あかん!そんなの夢やろ?あかーん。ないないないない!」

何故か八郎が必死に否定した。

「歌手デビュー……」

「あり得るんじゃない?」

「それ言うたら、2人の結婚かて…」

「え?喜美子の結婚も……?」

4人で顔を見合わせる。

「ないないない。ないわーーー」

4人で声を揃えて笑った。

「本当の話やのにな」

サニーの奥で、陽子と忠信がこそっとお茶を飲みながら、話をしていた。


「どれも、めでたい話や。いやあ、めでたい」

あとがき
2021.7.29
林遣都くんと大島優子ちゃんの結婚が発表されました。
信作と照子が……そう思ったら、今回のお話が浮かびました。
お二人とも、おめでとうございます!
スカーレット大好きな私からの、お祝いです!(要らんがなw)
なお、このお話は私の完全なる妄想です。原作とは全く関係ありませんので、悪しからずです。




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