短編小説:大きすぎるシャツ~シングル『愛してるって言ってみてもいいかな・憎いな』より~
「お母さんなにやってるの!?」
寝室でゴミ袋を抱えて次々と荷物を捨てている私の背後から、驚いたような娘の声が飛んできた。
「何って、研二さんの荷物処分してるのよ」
私は冷静に答えた。
「なんで?」
「なんでって、もう必要ないでしょ?」
「だから、何で!お父さんまだ死んでないよ?!」
理解できない、と言った雰囲気で,、娘が私の声をかき消すように大きな声をあげた。
「悪いけど邪魔しないで」
娘の大声を遮断するように、私は部屋の扉を勢いよく閉めた。
わたしは、1