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Yシャツの隙間

「あ、それ、その仕草。もう一回、もっとゆっくりやって。」
私はベッドに寝転がりながらYシャツを着ようとしている彼にお願いをした。
「え?これ?」
彼はぎごちなさそうにシャツを着る仕草を繰り返す。
「そそるわぁ・・・。」
私は吐息に近い声を漏らしながら、彼を見つめる。
私たちは先ほどまで裸でお互いの身体を求めあい、抱き合っていたところなのに、その情事よりも、Yシャツを着る彼の仕草に私は子宮の奥がうずくのを感じた。

私は多分、SEXという行為がそれ程好きではなく、それに至る過程の方がよっぽど好きなのだ。
なので、裸で抱き合って体をつなぎ合わせる事よりも、そっと見え隠れする彼の肌を見る方にエロティシズムを感じた。
引き締まった身体。
程よく盛り上がった筋肉。
少し日焼けした肌。
それらが私の前で、白いYシャツの隙間から見え隠れする。
まるで、白い純情が、私に牙をむく。そんな妄想さえも出来ていた。

私がうっとりと彼を見つめているので、彼は困ったような顔をしながら近づいて私に軽くキスをした。

「で、俺は、また脱いだ方がいいの?」
挑発するように私に挑む。
「もう少し、あなたを見ていたいわ。」
私は正直に答えた。
でも彼は、私の願いを聞き入れてくれず、再びシャツを脱いで私に重なってきた。
「残念。もっと見ていたかったのに。」
心の中で、そう呟いた。

その呟きを消すように、純情を脱ぎ捨てた、少し日焼けした男の肌に口づけをした。

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