『百万円と苦虫女』
『百万円と苦虫女』
を観た。(監督:タナダユキ、出演:蒼井優、森山未來ほか)
さすがさすがの蒼井優。
展開を楽しむエンタメ映画ではないけど、静かに予想を裏切ってくる展開が蒼井優演じる「鈴子」の主観に漬かりかけた視点をちょうどいい具合で外してくれて、かつ「静」で演じ切る蒼井優の醸し出すムードに適度な刺激を与えていて、すごい。
ラストが、何かを決めた時の女の静かな強さを理解している監督なのだなあと思うと同時に、人生の選択の意味付けは自分の主観でするもんだよね、という渇きを帯びた暖かさに包まれており、非常によかった。
客観的にみれば「こうすればよかったのに」と思っても、正解は自分自身の意志で「こうした」という選択なのだ。
好きな映画=光の当てられることのない「ありきたりな人間」の色々あるようでない、ないようである人生を丁寧に静かに描く系。
である。
好きな映画ばかり選んで観ていると(本もそうだが)、自分の感性の正しさを証明された気になりいい気になりがちなところが難点であるが、この映画は予想外の気づきを与えてくれる、時折観返したくなる作品だった。
それにしても若い頃の森山未來はよく好きな人を追いかけてるね。