未熟な三十路

実家に帰るのが気が重くて、元旦から憂鬱な気分で電車に乗っている。
実家といっても、私の両親は借家住まいで、いま両親が住んでいる公団住宅も私が育った家ではない。
実家をこよなく愛する友人たちとの違いは、彼女たちよりも親元を離れるのが遅かった(社会人になってから)からだ、と自分に言い聞かせていたが、
就職後、地方勤務により長らく親の住まいから離れてみても、変わらなかった。
むしろ、子供の頃には自然にできていた親の前専用キャラクターが長く離れたことにより演じきれなくなっていて、またそのキャラクターを期待しているであろう親とのコミュニケーションが難しく、親元で過ごすことによりエネルギーを消耗するようになった。
「実家」に帰るモチベーションが少ないのは、都内で生まれ育ったため「故郷」感が全くないことや、中学以降地元ではない学校に通っていたこともあるだろう。
しかし親の前専用キャラクターで生きてくると、自然と親戚にもそのキャラクターで認知されるようになり、肉親たちの間での立位置も難しくなってくる。
女性お一人様人生には親戚付き合いが大事とよく聞くが…

両親は私に愛情を注いでくれたのだと思うが、子供の頃のことで思い出すのは悪い記憶のほうが目立ち、両親から学んだと感じていることもどちらかというと反面教師としての内容が目立つのは、やはり私が冷たい人間なのだろうか。

誰にでもあるエゴみたいなものに過敏すぎたのだろうか。

しかし、理由なく自分を受け入れてくれるのは世の中で両親以外いないのだから…
というループをいまだに繰り返している、未熟すぎる三十路。

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