「夛世界」第一楽章: Introduction: "Superposition"
解説
静謐な時間・場所で、朝日が折り重なるように差し込む中、あたりの霧が静かにたゆたうような寂寞とした曲です。
素材としているメロディは少ないですが、光の加減や時間の移ろいで少しずつ表情が変わっていくようなアレンジになっています。
原曲
「七夕坂夢幻能」から
「七夕坂に朝が来る」
曲調
調性:ホ短調
拍子:4/4
形式:ソナチネ形式(展開部省略型)
呈示部
序奏(0:00)
アルペジオ(分散和音)をチェロから順番に鳴らし、光が重なって揺らめくような、明るいけれども視界が定まらないような雰囲気です。
第一主題( 0:19)
波が寄せては返すような、静かだけれども動きのある音楽になっています。
第二主題(0:42)
突然何かに気づいてハッと遠くを見やるような少し緊張感と寂しさのある曲調にしました。
最後は冒頭と同じように、各楽器で分散和音を駆け上がりそして駆け降りる形で締め括られます。
再現部
展開部は省略し、呈示部全体を五度下げた形の再現部です(モーツァルトのピアノソナタ16番に倣っています)
第一主題(1:10)
転調して再び繰り返されますが、強弱や終わりの音が変わり、また違う表情を見せるような感じにしました。
派生主題(1:22)
こな流れを受けて、呈示部ではなかった主題が出てきます。感情の波が高まって押し寄せてくるような、切なさを表現しました。
第二主題(0:42)
こちらも転調しますが、主調(ホ短調)になり、緊張感は和らぎ一種の安堵感のような雰囲気の中、優しく包み込むように分散和音が奏されて曲を閉じます。