「夛世界」第三楽章: Minuetto di onda e particella
解説
第二楽章までは四重奏でしたが、第二楽章の重要人物の2ndヴァイオリンが抜けて三重奏になります。
量子力学を語る上では避けて通ることのできない波と粒子の二重性を、それぞれにメロディを当てて表現したメヌエットです。
また波はarco(弓で弾く:ひく)、粒はpizzicato(指で弾く:はじく)というように、奏法も別々になっています。
最初、波・粒は別々で現れますが、曲が進むにつれて境界が曖昧になり、渾然一体となっていきます(「波と粒の境界」という弾幕がありますね!)
量子力学とは違って古典物理学では、波は波、粒子は粒子と完全に別々のものとしてしか記述できないので、波と粒が別々で登場するのを、"古典的"様式であるメヌエットを採用しました。
原曲
「七夕坂夢幻能」から
「夢幻能 ~ Taboo Marionette」
曲調
調性:ホ短調
拍子:3/4
形式:ソナタ形式
呈示部
第一主題(0:00):波の主題
あの賢者をイメージして、メヌエットの優雅さに、少し物憂げで妖しさのある感じを加えました。
また古典的なアレンジにするために、メロディは基本ヴァイオリンが受け持ち、伴奏も4分音符主体のシンプルな形にしています。
第二主題(0:49):粒の主題
移行部ののち、全楽器がピッチカート(指ではじく奏法)になり、粒だちのはっきりしたテーマが奏されます。
粒子性とは、位置が一点に定まっている状態てあり、ピチカートにすることでそうした印象を表しています。
展開部
第一主題(1:12)
波の主題が転調されて繰り返されたのち、メロディの頭を反復しながら展開していきます。
第二主題(1:35)
波の主題に続いて粒の主題も加わり、重なるように奏されて、盛り上がったのち再現部に戻ります。
再現部
第一主題(1:57)
波の主題に戻りますが、繰り返し方や強弱が変わり、さらに妖しさを増した感じになります。
第二主題(2:41)
粒の主題は型通りの転調に加え、奏法が第一主題と同じくarco(弓)になり、全く表情が変わりそのまま曲が締め括られます。
ドブロイの言うように、全ては波であるという形になります。