「賢将」第三楽章
解説
聖白蓮は東方における仏教の権化ということもあり、好きなキャラですのでそうした思い入れも込めて書いたアレンジになります。
短いけれども深く印象に残るような曲を目指したいと考えていたとき、↓の曲を見つけ、素朴だけれども心に響く音楽に感銘を受け、この方向性で作ろうと決めました。
非常に安らかで満たされた気持ちになる曲ですので、よろしければぜひ聴いてみてください。
Lou Harrison & Richard Dee / Suite For Violin With American Gamelan
・V. Chaconne
アレンジは主題を何度も反復する形になっており、形式を持ち出すほどでもないほどシンプルで簡素な曲ですが、ちょうど多色刷りの版を少しずつ重ねることで色彩が増していき、奥行きや深みを感じるような、重層的な曲になっています。
原曲
東方星蓮船から
「感情の摩天楼 ~Cosmic mind」
曲調
調性:変ト長調
拍子:4/4
形式:パッサカリア
チェロ入声(0:00)
「感情の摩天楼」のサビのメロディですが、最初の二音(アウフタクト)を小節内に納めることで、少し違う拍感、雰囲気にしています。
チェロのピチカートで優しくそっとささやくようにメロディが歌われます。
ヴァイオリン入声(0:31)
チェロに答えるように、ヴァイオリンの変ホ短調の対旋律が重なることで、最初のメロディに陰影・リズムが加わって、慈しみと悲しみが同居するような曲調になります。
ピアノ(左手)入声(1:01)
ここでピアノが、低音でゆったりしたリズムを刻みながら加わり、チェロはピチカートからアルコ(弓)になります。日々の善行によって徳が積まれるように、音楽が少しずつ広がりを増していきます。
ピアノ(右手)入声(1:31)
さらにピアノが高音で装飾するようなメロディが加わりますが、決して華美にはならず、自然に開花した花びらのような控えめさでメロディを彩ります。
ヴァイオリン・チェロ ユニゾン(2:00)
ずっとチェロで繰り返されていた主題が、ヴァイオリンとのユニゾンになり、厳かに声明を唱えるような、祈りたくなるような音楽になります。
ヴァイオリン・チェロ ユニゾン(2:29)
さらに感情が高まり、出会いと別れ、喜びと悲しみといった、本来相反する気持ちが一緒になったような、一緒に歩んだ道を一歩一歩振り返りながら前へ進んでいくように、高らかに歌われます。
コーダ(2:58)
最後はせいいっぱいの気持ちで歌いあげたまま、最後の音を遠くまで届けるようにヴァイオリンとチェロが奏し続け、ピアノがうなづくように和音を鳴らし、春風のような高揚感に包まれたまま、優しく曲が終わります。