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奇怪なる百科事典

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作者が本で読んだり、聞きかじったりした、100%実生活では役に立たない知識の数々をまとめた、この世で最も使えない百科事典です。 更新頻度:不定期
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#植物

はじめに・目次

はじめに 強欲な人間であることに関しては自信がある。食欲と睡眠欲は人一倍だし、知識欲と好奇心は半ば化け物じみている。創作というアウトプットを好む以上、インプットに血眼になるのは自然な流れと言えよう。  そのような事情もあって、しばらく前から、何かに使えそうな知識を丈夫な手帳に書き込んでいる。  本を読んでいて出くわしたもの、聞きかじったものなど、雑多なあれこれを蓄えるのは、蒐集趣味も満たしてくれる。有意義な作業なのだが、一項目数行程度で済んでしまうこともあるため、なかなかペ

バロメッツ ――羊を生む植物のはなし

 スキタイの羊、リコポデウムなどとも呼ばれた、伝説上の植物、それがバロメッツである。主に中世ヨーロッパで想像された。  バロメッツは、黒海沿岸、中国、モンゴルなどの荒野に分布する植物である。その実からは羊が生まれる。この未は蹄まで羊毛でできており、たくさんのウールが採れる。肉はカニの味がするという。  この奇怪なる植物、バロメッツについて、我らが南方熊楠先生が触れておられるので引用してみよう。  さて、いくつか補足しよう。  『旧唐書』の「払菻国」は、唐の時代に使われた