マガジンのカバー画像

奇怪なる百科事典

11
作者が本で読んだり、聞きかじったりした、100%実生活では役に立たない知識の数々をまとめた、この世で最も使えない百科事典です。 更新頻度:不定期
運営しているクリエイター

#創作大賞2024

はじめに・目次

はじめに 強欲な人間であることに関しては自信がある。食欲と睡眠欲は人一倍だし、知識欲と好奇心は半ば化け物じみている。創作というアウトプットを好む以上、インプットに血眼になるのは自然な流れと言えよう。  そのような事情もあって、しばらく前から、何かに使えそうな知識を丈夫な手帳に書き込んでいる。  本を読んでいて出くわしたもの、聞きかじったものなど、雑多なあれこれを蓄えるのは、蒐集趣味も満たしてくれる。有意義な作業なのだが、一項目数行程度で済んでしまうこともあるため、なかなかペ

昭和たぬき合戦どいなか

 以前、私の曾祖母が化物を「もんもん」と呼ぶことについて覚書を書いた(詳細はリンク参照)。  まさしく柳田国男が採集した民俗語彙と、その傾向に合致する一例であり、そんなものが令和の世までも生き残っている事実は、存外我々の身近にある不思議な「過去」を思い起こさせてくれる。  そんな感傷に浸りながら記事を書き終えた私は、ふと、別の事を思い出した。  よく考えれば我が曾祖母は、隣人が狸に化かされていた話さえ、私にしてくれたのである。しかも、昔語りの伝え聞きなどではなく、「隣家の