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不殺とか言いながら神速でタコ殴り抜刀斎
小学生の頃、今考えると不思議な話なんだけど、友達に「るろうに剣心」を読んでいる人はあまりいませんでした。
国内トップ普及率を誇る天下の少年ジャンプ、その掲載漫画の中でもかなりの人気作だったはず。にも関わらず、何故かあまり周りには伝わりませんでした。
いや剣心、左之助、あと志々雄真実なんかは伝わるんです。けれど何故か悠久山安慈和尚の異常なマッチョ具合とか、破軍の不二の元ネタが「魔神ランプランプ」のドグラマグラだったりとか、盲剣の宇水さんがアニメ化した際に声優担当がイメージ元になった桃白白の方になっていたことだったりとか、初登場時の四乃森蒼紫の前ハゲ具合だとか。。
とにかく、そういう話がしたかったのに、なかなか通じ合う友達はいませんでした。
全体的に、自業自得。名古屋港水族館太郎、飛天御剣流ポータンです。
いまさら説明が本当に必要なのか、かなり疑問ではありますが、当初の企画がそういう事なので、ご紹介させていただきます。
「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」は、和月伸宏先生によって描かれた明治を舞台にした剣客バトル漫画です。通称「るろ剣」の愛称で親しまれ、当時の少年たちは傘を片手に「飛天御剣流」「牙突」「終の秘剣、火産霊神」などと叫びながら遊んでいました。物語はかつて人斬り抜刀斎と恐れられた主人公緋村剣心が、新しい時代(明治)の幕開けと共に人を斬る事を止め、逆に自分が犯してきた人斬りという罪を贖う為、人々を助ける為に剣を振るうという分かりやすい少年漫画の王道です。
もちろん登場するキャラクターは敵味方関係無く魅力的で、ストーリーは王道だから読みやすくとてもオススメです。
が!そうじゃない!「るろ剣」の真の魅力は、王道だとかどうとか、そんな軽い理由じゃあない!!
作者の和月伸宏先生は、当時「るろうに剣心は王道漫画を目指している」と語っておられました。いや、明言してたワケじゃないんだけど、単行本の作者記述欄とかで散々「少年漫画の〜」っていう話があったから!間違いないはず!
少年漫画の王道といえば、それはやはり「サクセスストーリー」だとボクは思います。西川秀明先生の漫画にあった話じゃないですが、「ワルモノを倒して、姫を助け、世界を平和にする勇者」みたいなわかりやすい話。少年漫画を読むメインの購読者は小学生・中学生といったまさに「少年」たちなので、ストーリーがわかりやすく、かつ主人公に共感し易いのは非常に良いコトだと思います。
が、しかし!和月伸宏先生がプライベートで愛して止まない作品は、なんとまさかのアメコミ!今でこそマーヴェルシリーズは映画にもなり、世界中で認知されるビッグネームとなりました。が、当時は友人たちにマーヴェルとか言おうものなら「え?マーブル?チョコレート?」なんて返ししか来なくて、少年水族館太郎は「お前の家にオプティックブラストかますぞ」なんて言い返しても伝わらない切なくも寂しい日々を過ごしていました。
いかん、話が飛ぶ。何が言いたいかといいますと、マーヴェルシリーズは海外作品ということもあり、テーマやストーリーが非常に重いのです。サクセスストーリーなんて、とんでもない。ミュータント(超能力に目覚めた彼らを、ヒーロー・ヴィラン問わずそう呼びます)の力を使い悪事を働く者、それを正義の心で倒す者、それに恐怖し迫害・誹謗中傷を繰り返す一般市民。そんな彼らの生き方、考え方が複雑に絡み合って物語が作られています。
そんな重いアメコミストーリーが好きな人に、王道少年漫画なんか描けるワケがない。
いや、良い意味でね?(ここ、大事)
みんな綺麗な作画に誤魔化されているけど、そもそも主人公は人斬りだし。仕方ないとはいえ、ストーリー展開上人は死にまくるし、基本的に剣心以外はそれを認めちゃってるし。
主人公も主人公で、後悔はしているし罪を贖おうとはしているけれど、実際過去には何百・何千人も斬り殺した抜刀斎。にも関わらず、全力で逆刃刀という鉄の塊で相手をガンガン殴りまくる。ていうか、書いてて気付いたけど志々雄真実死んでるし。
たとえ敵であっても、もう誰一人拙者の前で人が死ぬところは見たくないんじゃなかったのか。勝手に燃えたから、そこはノーカウントなのか。ノーカン!ノーカン!なのか、抜刀斎。
まあ話の展開上避けられない場合は多々あれど、それでも不殺の精神を貫きながら生きるばっ…剣心。そしてそれを支える神谷薫を始めとする、多くの仲間キャラクター。
そうだ、キャラクターだ。
忘れてました、もう一つの見所。先述した通り、和月先生はかなりのアメコミフリーク。しかし、今でこそ広く知られたアメコミも、当時はヴィレッジ・ヴァンガードの片隅にマニア向けに並べられている程度でした。それを良い事に(え?)、和月先生アメコミからキャラクター造形流用しまくり。
実際、和月先生ご本人から単行本などで暴露されている話ではありますが、キャラクターのデザインにはかなりアメコミ要素が込められていました。わかりやすいのは、最初の強敵「鵜堂刃衛」です。いまでこそ笑い話ですが、現在の厳しい著作権界隈でやったら即刻連載打ち切られる勢いで、アメコミ要素満載の鵜堂刃衛。
わかる人には一瞬でわかるのですが、アメコミ「X-MEN」シリーズに登場する「ガンビット」というキャラクターに、鵜堂刃衛はかなり酷似しています。ていうか、ガンビットに和服着せたら刃衛だし。それくらい、アメコミ要素が深く込められています。パクリじゃない!愛だ、愛!!
そんな感じで、和月先生の危うさと見え隠れするブラックな部分に、当時のポータン少年は完全に魅了されてハマり込んでいきました。
というワケで、まったく作品レビューにはなっていませんが、これで興味をちょっとでも持ってくださった方がいましたら、ぜひぜひ「るろうに剣心」手に取って読んでみて下さい。
ちなみにボクは、斎藤一が大好きです。悪・即・斬。カッコイイよね!
では、御読了ありがとうございました。