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【後編】「ディズニーランド理論」で叶える“最高のポルシェライフ”――1万台を査定した店長が語る「本当の綺麗さ」とは

「“ディズニーランド理論”で叶える、最高のポルシェライフ――愛情が生み出す車の魅力を深掘り」【後編】


“本物の綺麗さ”は細部に宿る――査定のプロが見るポイント

高野「それは全体的な雰囲気みたいな感じも含めてですか?シートやステアリングなど、項目ごとにチェックしていくんですか?

高野「このシートのこことステアリングのとことセンターのとこと、ダッシュボードとかやっぱり項目ごとに見てオッケーオッケーってしていく感じなんですか?」

西川「全体がまず重要ですよね。全体を見渡した時に『綺麗だな』と思っても、ちょっとここはリペアでどうにかなるな、とか。逆にいくらリペアしても全体の使用感が拭えない時は厳しい。
例えばスポーツタイプの2シーターは助手席がそんなに使われないから、運転席と助手席の状態を見比べたり。マカンやカイエンならチャイルドシートを置く位置がへこんでるとか、汚れがあるかないか。そういうところを見てますね」

高野使用感っていうのは具体的にどんな感じなんですか?」

西川「例えば、めちゃくちゃ愛情を持って乗ってる人はステップのところに足を乗せないとか、シートの縁にシワが出やすいから気を遣って乗り降りするとか。
2シーターだと助手席はあんまり乗らない分綺麗だけど、運転席だけがヘタってるとか。ファミリータイプならチャイルドシート周りが汚れてたりとか、そういう“使われ方”を見比べるんです」

2013年 981ボクスター 助手席の使用感と運転席の差がない極上の内装

西川「そこが漠然としすぎて難しいですけど、要は“全体的に大事にされているかどうか”が、内装を見れば分かるんですよね」

高野「でもなんかありますよね。ディーラーの試乗車でも、雑にみんなが乗ってるなーって感じる車と、大事にされてるなーって分かる車」

西川一番分かりやすいのは“汚れを溜め込まない”車ですね。売る前につけ焼き刃で洗車して掃除機かけました、じゃカバーしきれないんですよ。
例えば年に1回きちんとコーティングのメンテナンスして、日常では数週間に1回洗車している車は、ドアを開けた隙間やトランクの水が流れる部分に水垢が残ってないですから。ガソリンスタンドの洗車機じゃ絶対落ちないような汚れまで、普段から手を入れてると全然違うんです」

ヒンジ部分も手入れが行き届いてます

西川「ホイールもそうで、長く洗わず放置してるとブレーキダストがこびりついて落ちなくなるけど、ちゃんと定期的に洗ってるとサッと落ちる。そういう積み重ねで“オーラ”が変わってきますね」

高野「めっちゃ反省……夫はほんまガシガシ走るんですけど、走行距離はどんどん伸びるのに、車自体はすごく綺麗で。私が『ここシートに当たるから気をつけなあかんやん』って言われると『面倒くさい、乗らへん』とか思っちゃうんですけど(笑)。でも夫はきっちりしてるんですよ」

高野「そんなふうに7万キロ走ってても綺麗な車って査定的にもプラスですよね?」

西川「そうですね。 見に来る人が『7万キロならこんなものだろう』って思うところを超えてきますから

高野「確かに。2000キロとかですごく綺麗だと思ってたのに、実際見たら汚かった……となったらマイナスイメージですよね」

西川「そうです。そこなんですよ。ポルシェ慣れしてるお客様のハードルは特に高いです」

西川「見に来られるお客様は愛情を注いでる車を所有していたり、購入の際に何台も見てきた経験があるからこそ、『この年式でこの距離ならこれくらいの綺麗さ』って基準がある。だから買取の段階で査定台数を重ねて経験しないと、どこまで仕上げて、どこまで戻せるのかが分からないんですよね」

高野「普通の国産ファミリーカーとは、そもそも評価基準が違いますよね。やっぱりシビアだなあ」

西川「他のお店でも同じ年式・距離の車を置いてる場合、状態がより綺麗かどうかを比較されるんですよね。
だから、誰がどの車を見に来ても『わあ、綺麗だね』と思ってもらえる品質にしたい。そのレベルに達しない車は、店頭には置けないというわけです」

高野「なるほど。そこと繋がるんですね。確かにお店の印象にも関わるし」

西川「そうですね。もちろんプロの手を使えば表面上は綺麗になりますけど、“本来の綺麗さ”と“クリーニングで作られた綺麗さ”はやっぱり違う。そこは感覚の部分ですけど、何台も見てると分かりますね」

高野「ヘタリ具合とか、全体の使用感とか……車を見に来たお客さんには細かく説明することはありますか?」

西川「綺麗か使用感があるかは感じ方に個人差があるので、個人的に気になる箇所っていう感じでご説明はしてます。なので最低限『写真より実車の方が綺麗』って言ってもらえるラインは必ず守るようにしてます」

ディズニーランド理論に学ぶ「汚れを溜めない」美しさの秘訣

西川「昔、“土足禁止”の車ってありましたよね。土足禁止の人とか。そこまで徹底すれば、車は本当に劣化しませんよ」

高野「もううちの夫です。ほんまそんな感じで、ウェットシートやクリーナー置きまくって、信号待ちのたびに拭いてるんですよ。『別にそこまでせんでも…』みたいな(笑)」

西川「それはディズニーランドと一緒ですよ。あそこって、ゴミが落ちてたらすぐに拾うから、結果いつも綺麗なんです。汚れが溜まらないうちに落とす、という考え方」

高野「それ、めっちゃキャッチーですね。“ディズニーランドと同じ考え方で車を綺麗に保つ”って、なるほど~って思います」

西川「ディズニーランドでは、ゴミが落ちたらすぐ拾うことで常に清潔に保たれています。同じように、車も汚れが目立つ前にこまめに手入れすると、美しさが維持されるんです。そうすると細かい汚れにもすぐ気づくし、結果的にずっと綺麗さをキープできる」

高野「最初は頑張るけど、だんだん『まぁいいか』ってなる人も多いですよね」

西川「ずっと綺麗にしてれば、逆にちょっとした汚れがすごく気になって“すぐ落とさなきゃ”ってなる。そうするともう“ディズニーランド状態”ですよね」

高野「ほんまそうやと思います。うちも最初は『これぐらい別にいいんちゃうの』って思ってたけど、やっぱりちょっとでも汚れたら気になるようになってくる、みたいな」

レーステック派か革巻き派か――ステアリングを守るこだわり

高野「私、運転のときにグローブするんですよ。夫から『ハンドルに化粧品とか日焼け止めとか付けるな』って言われて(笑)。最初は『面倒くさ…』って思ってたけど、実際すごく運転しやすいんです」

西川「本当に化粧品や日焼け止めは落ちづらいですね。あと手汗とか油分でステアリングがテカテカになりやすい。アルカンターラのステアリングだと毛羽立ちがペタッとなってきちゃうんです」

レーステックステアリング

高野「そうなんですね。奥様が乗る車だと化粧品付着が怖いとか」

西川「そうです。レーステックのステアリングは“手触りがいい、滑らない”って理由で選ぶ人も多いんですけど、汚れやすいから、あえて普通の革巻きに変える人もいます」

高野「あー、なるほど。GTSでもアルカンターラより革の方がいいという人がいるのもその理由なんですね」

「綺麗さのその先へ――想いをつなぐ、最高の一台を届けるために」

これからも、Cloudとしては「もともとの状態が良く、かつ丁寧に仕上げられるポルシェ」を積極的に店頭に並べたいと思っています。もちろん年式・距離だけで判断するのではなく、「どこまで綺麗に戻せるか」を見極めつつ、オーナーさんが注いできた愛情やストーリーも大切にしたいと考えてます。
お客様にとっては、車を売るときも買うときも「もっとこうした方がいいのかな?」と悩むポイントが多いと思います。そこをお手伝いして、「予想よりずっと綺麗だ」と思える一台を提供し続けたい。これまで1万台査定してきた経験を生かして、今後もより多くのポルシェオーナー様の想いに寄り添い、最高の一台を提供し続けられるよう、精進していきます。

編集後記

今回、高野さんとの対談を通じて、僕が「当たり前」と思っていたことが、実はオーナーの皆さんにとっては知らないことだらけかもしれない、という発見がありました。車って、ただの移動手段じゃなくて「どれだけ大切に扱われてきたか」が色濃く表れるんですよね。
だからこそ、僕はオーナーさんがしっかり手をかけた車を正当に評価したいし、ご購入いただく方には「ここで買って良かった」「この車なら安心して乗れる」と感じてもらいたいんです。
記事の中でお話しした“ディズニーランド理論”のように、汚れを溜めずこまめにケアしていくことが、一番シンプルだけど一番効果的。これは車に限らず、どんなものでも同じかもしれませんね。
今後も、Cloudの店長としてポルシェの魅力をより多くの方に味わっていただけるよう尽力したいと思います。今回は最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
このシリーズ対談はまだまだ続きます。ポルシェを愛する全ての方へ、役立つ情報をどんどんお届けしていきますので、次回もどうぞお楽しみに!
――以上で「「1万台査定のプロが明かす“本当の綺麗さ”――ディズニーランド理論で叶える、最高のポルシェライフ」」対談の前編・後編をお届けしました。次回の更新もどうぞお楽しみに!

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