12/13(Sun) 28歳の年末に31歳のポルシェを買った
28歳、ポルシェを買う
2020年の年末、ポルシェを買った。
ポルシェといってもカイエンやボクスターなど都内でよく目にするものではなく、89年生まれの911空冷ポルシェを購入した。
自分はカエルのような目をした、フォルムが特徴的なこの黒い911を長いこと欲しており、運よく状態のいい個体に出会えたので購入を決意した。
しかしそこは30年前の車。
市場に出回る中古車でも個体差が非常に大きく、状態のいいものの数が少なくなかなか求めている雰囲気のポルシェに出会えなかった。
また、ここ数年の空冷ブーム(世界中で空冷ポルシェの取引が活発になっている、主に中国やロシアなどで比較的状態が良い日本にある昔のポルシェが人気らしい)により、値段もMTで状態が良いものであれば平均価格1,000万円と非常に高騰しているため、金銭的にも容易に購入に踏み切ることができなかった。
ではなぜ今この入手困難でそれなりの値段をするポルシェを買ったのか、それを自分に対する備忘録として簡単に下にまとめてみた。
空冷ポルシェをかった3つの理由
(1)プロダクトデザイン
まずこの車体のデザイン。
カエル目と言われる愛らしい前からの顔立ち。
リアにかけて描かれた美しい曲線。
地面と平行な一直線のバックライト。
無駄なものがないシンプルなコックピット。
このすべてが美しく、このポルシェはシンプルな機能美と官能的な美しさが存分に詰まった車だとずっと思っていた。
そして乗るのであれば適当な車ではなく、この車に絶対乗りたいと長いこと渇望していた。
このデザインは930(1974-1989)という型式と964(1989-1993)という型式で見受けられる。
厳密にいうと930と964では部品の7-8割が異なっているため全く別の車と言えるが、フルモデルチェンジにも関わらず外見はほぼ同じ見え方であったのが特徴的だ。
この930か964のどちらかで、状態の良い黒い個体をずっと探していた。
その理由としては私が大好きな漫画「湾岸ミッドナイト」に出てくる代表的なクルマの一つがポルシェ964 turboであり、このポルシェが湾岸のブラックバードという呼称通り黒いのである。
(2)「手触り感」がある車
「手触り感」をとても大切にしている。
自分が力を注いだことへの反応がしっかりと返ってくること。
それは今取り組んでいる仕事でもそうだし、学生時代に置き換えるなら部活や勉強などにも当てはまると思う。
自分が物理的・精神的に払った労力に対して、どれだけの反応がその事物や市場から返ってくるかというのは、自分にとってとても重要な感覚である。
綿密に行った市場調査を元に企画したプランが、実際の市場やお客さんの声としてどうリアクションが返ってくるか。
フリーで活動し始めたときに、市場は自分にどれだけの対価を感じて払ってもらえるか。またその価値を上げるためにインプットを増やしたり、結果を出すことで最終的にどこまでその価値を向上できるのか。
そういったインプットに対してどんなアウトプットが返ってくるのかというのを、自分の周囲のこと全てから感じたいと強く思い、車選びもその思想に合致したものが良いと考えていた。
特に各部位に電子制御が入る前の930は、MTしか車体がなく自分の運転がダイレクトにクルマの動きに反映されるという意見を多数耳にしたので、この車を自分の車として選んだ。
(3)空冷ポルシェのある人生を買う
唐突だがYANASEのコピーは最高のクリエイティブだと思っている(50sec ~)
クルマは作らない。
クルマのある人生を作っている。
このキャッチコピーは車を買う人の気持ちをうまく捉えていると思う。
実際に車を買う人の中でも純粋に車が好きな人もいれば、車があることで享受できるメリットのために買う人もいる。
推測でしかないが、おそらく世の中の大半が後者の理由で車を購入しているだろう。家族で出かけるために、通勤通学に必要なため、そういった目的で車を購入する人たちに対して「クルマのある人生を売っている」というのは言い得て妙だなと思う。
かくいう自分も28歳の今、空冷ポルシェを買うことで得られる体験などの全てに興味がありなかば勢いに任せて買ってしまった。
もちろんこのクルマ自体が好きというのものあるが、例えば空冷ポルシェ乗り同士でいくツーリングなどは今までの自分では経験ができないことであるので、ぜひ参加してみたいと思う。
また実際に30年も前の車に乗るため、今まで以上にメンテナンスに気を使う必要がある。そのメンテナンスを自分で行う中で溜まっていく知識・知見など、この車を買うことによって得られる様々なすべての体験に関心があった。
歳をとってからよりも、人生で最も若い今この瞬間からそれを経験したいということと、あとは迷っている時間を自分の中に作っておきたくない(思考の一部分をそこに常に払うのは、脳内のメモリを常に稼働しているアプリで消費するみたいな感覚が自分にはある)ので、ついに購入を決意した。
まとめ
・プロダクトデザイン
・自分の運転が良くも悪くもダイレクトに反映される
・ポルシェのある人生を買う
まずカッコイイこと。
そして入力したものにダイレクトに反応してくれる車であること。
何よりこのポルシェがあることで新しい人生を送れること。
試乗も何もしていないので自分のはやる気持ちだけをまとめた形になったが、
これらの理由が自分の想像した通りであったか、
また今後起こりうる様々なトラブルなどを自分の備忘録としてこのブログにまとめていければと思う。