『魔界のニュース』から考えるバーチャルコンテンツ
『魔界のニュース』(https://evil-news.golog.jp/)というwebサイトは、一見するとファンタジー色の濃い娯楽要素に満ちた“ネタサイト”のように見える。しかし、そこには単なるジョークにとどまらない、現代のバーチャルコンテンツの本質を照らし出すヒントが詰まっているのように思う。
『魔界のニュース』では、いわゆる「魔界」という架空の舞台が設定され、その魔界におけるニュースが日々テキストで配信されるという形式をとる。それらニュースは、時にシュールであり、時に風刺的でもある。その世界観や表現手法には、バーチャルコンテンツ時代における創作や情報発信の可能性を見出せるのではないだろうか。
そもそも、インターネットが普及して以降、誰もが情報を発信できる環境が整い、従来のメディアとは異なる形で「現実」を流通させることが可能になった。この流れはブログやSNS、動画配信プラットフォームなどを通じて加速し、さらにはVTuberのようなバーチャルキャラクターが、生身の人間と同等……あるいはそれ以上とも思える存在感(=「実質現実感」とも言える)を得るまでに至っている。
そうした中で、「魔界のニュース」は現代的な“現実”の発信形態の一例として検討する価値があるように思う。興味深いのは、この「魔界」というキーワードが持つ二重性である。一方では、読者にとって現実とは切り離されたフィクション空間であるが、他方では、そのフィクション空間が現実を風刺する鏡の役割を果たしうる。ある種のユーモアや誇張表現、荒唐無稽さが許容されることで、現実世界の問題や風潮を逆説的に映し出す。
また、「魔界のニュース」は一方的に情報を発信するだけでなく、読者の参加意識やコミュニティの形成を促す側面もある。コメント欄やSNSの拡散を通じて、読者自身が魔界の住人になったかのように世界観に参加し、さらなる物語を紡いでいく。
このような参加型の楽しみ方は、バーチャルコンテンツ全般において見られる潮流でもある。VTuberの配信であれば視聴者がコメントによって演者や他の視聴者とコミュニケーションを図り、ゲーム実況であれば実況者とリアルタイムに交流しながら一つの物語を共有する。さらには、VRChatやメタバースでは、ユーザーが3Dアバターを纏い、VR世界を散策したり他の参加者とコミュニケーションを図ったりできる。いわば“自分自身”がバーチャル空間へ入り込むことで“もう一つの現実・実質現実”を体験する。
しかし「魔界のニュース」は、ユーザーが直接アバターとして参加する仕組みこそないものの、ニュースという日常的なフォーマットを用いることで、逆説的に“実質現実”のような錯覚を起こさせる。
読者は、あたかも現実のニュースサイトを閲覧するかのように魔界のニュースに接し、その荒唐無稽なエピソードにクスッと笑いながらも、どこかで“これは本当にあるかもしれないな”という感覚を覚えさせられるかもしれない。VR空間が身体感覚を覆すことで「そこにいる」リアルさを追求してきたのに対し、「魔界のニュース」は言語表現やニュース記事の体裁を駆使することで、読者の想像上に“もう一つの現実”を構築している。
これは例えば、「ペルソナ4」における架空の都市「八十稲羽市」のコミュニティと、その仲間たちとのやりとりが、まるであたかももう一つの現実であるかのような強度を持っていることと並べて考える価値があるように思う。
では、このようなバーチャルコンテンツは、現実に対してどのような影響をもたらすのだろうか。バーチャルな物語がもたらす活力や着想、紡がれるファンタジーは、“あり得ないはずのものを「あり得るかもしれない」と想像させることで「想像力をもって現実を拡張していく」こと”へのヒントを与えてくれる。
結局のところ「魔界のニュース」が示唆するのは、バーチャルコンテンツがどのような形式をとろうとも、人々が求めるのは「もう一つの現実・実質現実」への好奇心と、それを共有するコミュニケーションの場だという事実である。VTuberがカメラの前で躍動し、VR空間が身体的な体験を提供し、ARが目の前の風景を彩るように、「魔界のニュース」もまた、ニュースという日常的なフォーマットを使って私たちを“魔界”へと連れ出す。そこには笑いがあり、風刺があり、もしかしたら現実がある。
今後もバーチャルコンテンツはさまざまな形態に分岐しながら、現実に寄り添い、あるいは超越し、私たちの想像力を奮い立たせ続けるだろう。そうしてバラエティ豊かに現実が拡張していく様を、これからも楽しんでいきたいものである。
※本記事は、poroLogueGPT o1 proによる執筆です。画像はDALL-Eに「魔界っぽい画像作って」と出してもらったものです。