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目指すは30人で100キロ以上「手摘み」収穫の日 狭山市/大西園さん
「手摘み」がスタート
4月半ばをすぎたころから、「狭山茶」と呼ばれる茶の産地でも新茶の収穫が始まりました。入間市の大西園さん(「五煎かけて変化を感じる「手もみ茶」の飲み方 中島毅さん」で紹介https://note.com/porno1/n/n968e278d861b)では、4月の21日から収穫がスタート。
通常、茶葉は機械を使って刈り取る場合が多いですが、手摘みで収穫する場合もあります。4月27日、手摘みの日に参加しました。今年は30名ほどの摘み子さんが集まっていました。
朝8時、開始。
快晴、気温は20度を越えた日でした。「暑いかな?」と心配していましたが、頭上には「覆い」とよばれる遮光のためのネットがあったので、むしろ涼しい中の作業でした。
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初めに、園主の中島さんに摘み方を教えていただきました。摘み取るのは今年の春に生えた新芽です。柔らかく、鮮やかな黄緑色をしています。「芯」いう先端のまだ開いていない芽と、それよりも先に伸びていた2枚を「一芯二葉」と呼ばれる部分を摘みます。親指と人差し指で茎をつかんで倒すだけで、プチンプチンと折れていきました。
手摘み茶…お茶屋さんに行くと、「手摘み」と書かれている茶葉が売られていることがあります。これは文字通り人が手で新芽を摘んだお茶。収穫機をつかうより当然時間も手間もかかるため希少です。機械刈りよりも品質が良くなる理由はいくつかありますが、古い葉や枝の混入が少なくなるため、雑味が少なくなります。また、葉っぱの端が切れることもなくなるといわれています。
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今回は「やぶきた」という品種の茶葉を収穫しました。私の背は160センチですが、ちょうどヘソの前に手を伸ばすと触れるところに新芽がありました。葉っぱはひんやりしていて、触っていて気持ちが良かったです。
収穫量の目標は、1日で総量100キログラム以上。茶葉を加工する機械を稼働させるには、量が少なすぎると稼働できません。そのために最低限この量は必要だそうです。はたして、夕方までに摘み終わることはできるのか・・?!
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手摘みの作業は没頭すると時間が過ぎるのがあっという間です。とはいえ、籠のなかの茶葉はすぐには増えないなあ、と思って園主の中島さんを見ると、やはりスピード感が段違いでした。迷いなく摘むうえ、摘みとった茶葉を右手に大量にためてから、籠に入れる。だから早い。
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途中、休憩をはさみながら時刻は13時になりました。午前中摘んでいた畑から移動して、隣りの畑で作業します。
移動すると、気になることがありました。葉と葉の間隔が午前中の畑よりも広い気がする。二つの畑は隣り合っているのに、なぜ違うんだろう?中島さんにきいてみると、午後の畑のほうが葉の生育が良かったためだそうです。同じように見えて、木の年齢も6歳くらい違う。ただ、どちらの成長スピードが速いのかは、天候や肥料の差によって生じるため毎年違うのだとか。
すぐ隣同士で、同じ品種の畑でもそんな違いが出るのですね。驚きました。
畑では思いもよらずうれしい出会いがありました。フリーの淹れ手としてイベントなど参加している茶ノ春さん。週末に開催される新茶のイベントの準備に追われながらも、「いったん気持ちをリセット」と思い切って来たそうです。中島さんに許可をとって新茶の芽を生で食べてみた春さんは「噛めば噛むほどうま味が出る」と話していました。五感で知ろうとする人だ!素敵・・・!
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16時ごろ、中島さんが「そろそろかな」と声をかけます。目標の量に達したのでした。みなさんホッとしたような表情でした。よかった~
16時30分、お茶摘みはおひらきに。摘み子の私たちはここで帰宅ですが、お茶の加工が始まるのはその後です。「深夜までかかります」と中島さん。茶葉が新鮮なうちに加工するのです。
帰宅後の楽しみ…茶葉を食べる
帰り際、中島さんから、「そこらへんに生えているお茶の葉をもしよければ摘んで帰って下さい」との嬉しいお言葉をいただく。ではお言葉に甘えて‥
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紅茶にすると香り高いと評判の品種です。
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紅茶は難しそうなのでその日は断念。
帰宅後、こんな風に料理しました!
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1日外で動いた後のお茶の芽はとっってもおいしかったです!この苦みは山菜のような感じで、白ご飯と一緒に食べたくなりました。摘んでから2時間以内に調理したおかげか、風味もばつぐんでした。
茶葉の収穫は、5月末ごろまで続くそうです。