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『いいちこ』のポスターは素晴らしい!
おはようございます\^o^/。
広告の話をしている番組を聞いていて、思い出したことがあります。
人間の脳は不思議です。まったく忘れていたのに、『広告』というキーワードでパット頭に浮かびました。
『いいちこ』の駅に貼られたポスター
学校を卒業後、初めて就職したのはデザイン事務所でした。
なぜグラフィックの世界に入ったかというと、その時代最先端の職業で単純にカッコいいと思った事。働く場所がオシャレな街である事。そして『いいちこ』のポスターに憧れていたことも理由の一つです。
まだまだ、駅や電車内に広告がびっしりと並んだ時代でした。広告業界の一番華やかな時代です。
その中でも目を引いたのが『いいちこ』のポスターです。
自然の風景の中に『いいちこ』の瓶が1本置いてある。そういうシンプルなポスターです。
コピーライターが活躍した時代でもあり、広告やポスターにもキャッチコピーが大きく出ていたり、芸術性も高く、商品を売るといよりは会社のブランドイメージをあげる事を目的にしていました。
キャッチコピーと写真で表現された『いいちこ』のポスターは自信が無ければとてもできない見せ方です。
新しいポスターが張られるたびに、感動と尊敬の気持ちで眺めていました。
そして、潔くてカッコいい表現に、自分もこのような作品を作りたいなと思っていました。
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広告氷河期時代
バブルもはじけ、世の中がだんだんと暗くなってきました。景気が悪くなると会社でまず節約するのが、広告費です。
どんどん駅貼りのポスターや車内吊りの広告、ドア上の広告も少なくなり、隙間が目立つようになってきました。
”自分の職業も長くないな”と実感せざる負えませんでした。
そんな中でも『いいちこ』のポスターはありました。
大手の企業もどんどん広告を減らして、大きなポスターも見かけなくなったのに、見つけた時はびっくりしました。
時間が止まっているかのように、何も変わらず貼ってありました。
同じコンセプトで、美しい写真が全面にあり、ぽつんと1本の『いいちこ』の瓶。
また、感動しました。
会社の思いや願い、写真を撮っている人の思いや願い、携わっている人たちの思いや願いを感じ取りました。
おおげさでしょうか? その位の迫力を私は感じました。
最近の『いいちこ』ポスター
ここ数年は電車に乗る機会も減り、駅のポスターは旅行などのものがメインとなっています。
インターネット普及後はネット広告が主流となり、動画やSNSへと移行しています。
そんな中ふと思い出した『いいちこ』のポスター。
今、どうなっているのだろうか?と思い調べてみました。
三和酒造株式会社のサイトにありました!1984年から2023年まで。
感動です!1984年はその時代らしい、風景ではなく商品を洋風に並べて撮られた写真ですが、つぎの年の1985年からは今まで続いている風景の中の『いいちこ』になっています。
素晴らしいはずです。アートディレクターは河北秀也さん、コピーライターは野口武さん、デザイナーは土田康之さん、カメラマンは浅井慎平さんです。
コンセプトは「日本の原風景」です。
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同時期、業界にいながらこのような事知りませんでした。今みたいにインターネットもスマホもなく、本や雑誌、他の人から聞くしか情報を得られなかったので、今頃、クオリティーの高さに納得とコンセプトは自分にダイレクトに伝わっていたのだとわかりました。
そして、会社も文化・芸術を大切にしている事がわかります。会社のHPには今までのポスター・CMが掲載されていて、文化活動として『季刊iichiko』という文化学誌も発行しています。
まとめ
今年の2月にアートディレクター河北秀也さんのポスター展が九州の大分県で開かれていたようです。
見たいです。
関東圏で開かれることはないでしょうか?
自分もこのようは作品を作りたくて、グラフィックの世界に入ったんだなと思い出しました。現実はもっと地味な物をせっせっと毎日制作していたのですが、夢がありました。
広告費もたくさんあり、企業も売るためではなくイメージをあげるために広告を作っていた余裕のある時代です。製作費も今よりもぜんぜん高かったのです。(コンピュータ無しでほぼ手作業だから)
今は、誰でも気軽に広告などが作れる時代になりました。私も気軽に作っています。スピードもコストも求められるので、時代にあわせて変化する事は仕方ない事ですが、やはり丁寧な仕事は感動を呼びます。
インターネットも広告を見ない為にお金を払う時代です。ますます広告のありかたをどうするか?が問われてきます。
また、一つの芸術として『いいちこ』のポスターのような素晴らしい作品が見れる、そういう時代が来るといいなと思いました。
※決して、回し者ではありません。ただのポスターファンなだけです。カレンダーにしてほしい…。ペーパレス時代ですが紙好きです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。
どなたかのお役に立てます様に。
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