ぽれぐ

遊戯王/読書録

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最近の記事

デッキ改築記録①【万人の死角】

ぽれぐです。  今回は、長きにわたって愛用しているデッキの改築記録記事です。2022年9月13日にデッキ紹介記事を書いてから採用カードがかなり変わり、練度も向上したので、ここらでその軌跡を記しておこうという腹積りです。ぽれぐファン必見!  重い腰をあげる機会をくれたあぷりこってぃさん、読書の秋オフ会参加者の皆さん、ありがとうございます! デッキ概要 具体的な改築の紹介に入る前に、デッキの概要から。このデッキは、No.103神葬零嬢ラグナ・ゼロを主役として戦うデッキです。

    • 読書録 2024年9月

      寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』(角川文庫) 「書を捨てよ、町へ出よう」「きみもヤクザになれる」「ハイティーン詩集」「不良少年入門」の四篇からなるエッセイ集。5年ぶりくらいに再読。  不幸な境遇にある者たちを勇気づけ、希望を抱かせるような文章が多い印象。度々称揚されている「一点豪華主義」もまさに、満足いかない日々の暮らしに彩りを与える思想だととれる。  「ハイティーン詩集」の中に、アンドレ・ジッドの『地の糧』から「書を捨てよ。町へ出よう」という心境を得たと述べている文章があ

      • デッキ紹介④【死灰の中から】

        ぽれぐです。 デッキ紹介やっていきます。 デッキレシピまずはレシピ。 メインギミック このデッキは、真炎竜アルビオンを使いたくて組んだデッキです。  アルビオンは融合素材にできない耐性と対象耐性を持ち、相手ターン中にフリーチェーンで互いの墓地のモンスターを合計2体1体ずつ互いの場に特殊召喚する効果をもったモンスターです。(お互いの墓地から1体ずつでも、どちらかの墓地から2体でも可)  所謂「送りつけ系」カードですが、数ある「送りつけ系」カードの中でも余剰アドバンテージを

        • 読書録 2024年8月

          氷室冴子『海がきこえる』 大学進学を機に高知から上京した杜崎拓が、高校時代を懐古することではじまる青春小説。杜崎が「ボーイ」から「マン」へと成長するビルドゥング・ロマンスといえる。  ヒロインの里伽子はもちろんだけれど、それ以上に松野が良かった。杜崎が松野を認めて「親友」になる場面も、双方口下手で里伽子を巡ってぎこちない会話をしてしまうところも、思春期の不器用な男同士の友情という感じでとても魅力的に映った。ふたりが和解できて本当によかった。  若者たちのビルドゥング・ロマンス

        デッキ改築記録①【万人の死角】

          読書録2024年7月

          金原ひとみ『蛇にピアス』 「暗い世界で身を燃やしたい」少女・ルイ、スプリットタンの青年・アマ、刺青彫り師のシバ。アンダーグラウンドで生きる者たちの小説。  ルイが自らアンダーグラウンドを選んで生きている様が良かった。観念的に殺される想像に酔いしれながらも、実際の殺人事件には恐怖するルイの不安定さが、若者らしい感性を捉えていると感じた。表現の次元では、アマの死後ルイの精神が不安定になるのと並行して、三名の匿名性が剥がれていく様が好みだった。 松本徹『三島由紀夫の生と死』 三島

          読書録2024年7月

          読書録 2024年6月

          筒井康隆『モナドの領域』 河川敷で発見された女の腕。美大関係者が続々と捜査線上に浮上して・・・というミステリかと思いきや、「GOD」を名乗る上位存在が登場してSF的な展開を辿る小説。筋を追うというよりは、決定論的な宇宙哲学を追うことを想定して描かれているように思う。あまり面白くはなかった。  公園→法廷→TVショウという形で「GOD」の知名度が上がっていく過程のディティールや、メタフィクション的な作者の登場の仕方は面白かった。 藤原正範『罪を犯した人々を支える 刑事司法と福

          読書録 2024年6月

          読書録 2024年5月

          ジョージ・オーウェル『動物農場 おとぎばなし』(川端康雄訳) 動物達が農園から人間を追い出す「反乱」を成功させるも、知恵のある「ぶた」たちに支配される様子を描く小説。かなり露骨にソ連・共産党政府への非難が込められている。  作り話だとわかっていても(ある意味作り話ではないのだが)、「ぶた」の「指導者」への憎しみと虐げられる動物たちを応援する気持ちとが沸々と湧き上がってくるのを実感しながら読んだ。フィクションが持つ力を実感できる小説だった。 小林泰三『時空争奪 小林泰三SF傑

          読書録 2024年5月

          読書録 2024年4月

          安部公房『箱男』  全身を段ボール箱で覆い、路上生活を送る「箱男」の手記として描かれる小説。他者から見られることを嫌いながらも他者を覗きみたい者の象徴として「箱男」は存在している。覗き見ることの恍惚と眼差されることのいたたまれなさが身に迫ってくる本だった。 豊川斎赫編『丹下健三都市論集』 先月読んだ『建築論集』の姉妹本。丹下の建築に関わる思想が表現されていた前作とは対照的に、丹下の実務家としての仕事といえる。  『都市論集』と銘打っているだけあって、丹下が都市をどのように改

          読書録 2024年4月

          読書録 2024年3月

          宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』(新潮文庫) およそ5年ぶりに宮沢賢治の短編集を再読。以前読んだ時は「よだかの星」がお気に入りだった。平泉 旅行の道中で読んでいたのだが、読みやすくて旅のお供に適していた。  柔らかい文体に包み隠されているけれど、賢治は人間社会を辛く苦しいところだと認識しているんだなと感じた。最も記憶に残ったのは「猫の事務所」の終わり際。窯猫がいじめられている様を見た獅子が放つ「そんなことで地理も歴史も要ったはなしでない。」という台詞。 永嶺重敏『読書国民の誕

          読書録 2024年3月

          読書録 2023年2月

          心に余裕が無いと読書が捗らないことを実感した1ヶ月。 米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件 上』 〈小市民〉シリーズ第三弾の上巻。『夏期』で袂をわかった小佐内と小鳩は、それぞれ小市民的な「男女交際」を始める。そこに連続放火事件が絡んできて...という話。続きが気になる。早く読みたい。  小佐内サイドの瓜野の暴走気味な行動力と自意識と慢心とが、小鳩との対比で描かれていて痛々しい。小鳩サイドに関しては、謎を解いていく楽しさに溢れていて、ミステリは読書も作者も謎解きの楽しさが根にある

          読書録 2023年2月

          読書録 2024年1月

          諫山創『進撃の巨人』全34巻(漫画) 高校生の頃に獣の巨人登場くらい?まで読んだ状態からスタート。中盤くらいまでは楽しみつつもある種の陰謀論的想像力に危うさを感じていたのだけれど、後半以降に突きつけられる憎しみの連鎖のリアリティに打ちのめされた。サシャの無駄死が残酷で象徴的。終わらない歴史を生きる現代の我々にとって、真に迫るような作品だと感じた。  一見平凡に見える、身近な人への愛に生きる価値を見出すエンディングも、ここまで描かれてきた壁や海、あるいは時を隔てた顔の見えない他

          読書録 2024年1月

          デッキ紹介③【宴のあと】

           昨年2023年に遊戯王関係の記事を全く書いていないことに気づき、急ぎ筆を執っています。今回はAGOV(エイジ・オブ・オーバーロード)でFA- ダーク・ナイト・ランサーが登場して以来、愛用しているデッキの紹介をします。 デッキレシピメインギミック FA-ダーク・ナイト・ランサー(以下、ランサー)は自分の場のモンスターにカードが装備された場合に相手モンスターを素材にできる誘発効果を持っています。  このカードを活かすためには、自分ターンだけでなく相手ターンにも効果を使いたい

          デッキ紹介③【宴のあと】

          読書録 2023年12月

          労働が憎い・・・! 伴名練『なめらかな世界と、その敵』(ハヤカワ文庫) SF短編集。それぞれが各種SF的設定に疎外感を感じる人物を主人公に据えた作品群で、健康的で瑞々しい若者達の物語という印象。最も面白く読んだのは「美亜羽へ贈る拳銃」で、脳へ与える電気信号の操作による性格の変化を、完全に別人格の発現とと捉える主人公の潔癖さが眩しい。  ここ最近触れていたSFは毒を含むものが多かったので、ライトな書き振りに少し物足りなさを感じた。著者はSFの良き読み手として知られる作家のよう

          読書録 2023年12月

          読書録 2023年11月

          佐藤春夫『田園の憂鬱』 田園に引っ越してきた芸術家青年の、自然との触れ合いと憂鬱が描かれる小説。青年の目に映る精緻な自然描写が美しい。活き活きとした犬との交流も楽しい。逆に虫に襲われたりする不快感も鮮明。  敏感な青年の満たされなさに共感しつつも、そんな態度でいたら近隣住民から白い目で見られるわ...とも思う。 泡坂妻夫『乱れからくり』 からくりに纏わる蘊蓄がふんだんに盛り込まれたミステリ。本来なら五感を通して楽しむからくりの魅力を文章だけで表現していてすごい。からくり職人

          読書録 2023年11月

          読書録 2023年10月

          網野善彦『異形の王権』 中世民衆思想史の異端児・網野善彦が、民俗学をはじめとする周辺学問の成果を受け入れながら、中世における「異形」の文化史を描き出す試み。一章にあたる「異形の風景」、二章にあたる「異形の力」で、図画資料から「異類異形」の姿を描き出し、鎌倉期には「聖なる」ものとして見られていた「異形」が、南北朝動乱期を境に、忌み、差別されるものへと変化することが述べられる。そして終章にあたる「異形の王権」において、天皇制の存続すら危ぶまれた時代に後醍醐天皇が「異形」を聖なるモ

          読書録 2023年10月

          読書録 2023年9月

          カレル・チャペック『ロボット(R.U.R)』(千野栄一訳) 「ロボット」という言葉が初めて登場したとされる古典的戯曲。人間に代わって労働をさせるために開発された人間の模造品=「ロボット」が、無能な人間に代わるべく反乱を起こすという筋書きは、今やよくあるものだけれど、1920年段階から構想されていたことに驚く。SFは資本主義社会における文芸なんだろうなと思う。  エンディング含めてキリスト教的価値観が色濃く反映されている。人間が創造主を騙ることへの反発。  ロボットが労働に従事

          読書録 2023年9月