サミュエル・バーバー
サミュエル・バーバー(1910-1981)は、20世紀のアメリカを代表する作曲家です。ペンシルベニア州ウェスト・チェスターに生まれ、ピアニストの母や作曲家・コントラルト歌手の伯父など、音楽に囲まれて育ちました。
14歳の時にフィラデルフィアのカーティス音楽院に入学し、ピアノ、作曲、声楽、指揮を学びました。そののち、奨学金を得て、イタリアに留学しました。
1920年代のアメリカは、黄金の20年代、狂瀾の20年代と称されました。大衆消費社会が到来し、様々なものが消費の対象となりました。それは、音楽や芸術にも及びました。
バーバーはそういった流れには乗らず、ロマン主義的アメリカ音楽の確立に力を入れました。一部の人に理解される音楽ではなく、出来るだけ多くの人に理解される良い音楽を志しました。
彼の作品で有名なものに「弦楽のためのアダージョ」があります。これは弦楽四重奏曲1番の第2楽章です。弦楽四重奏曲1番は古代ローマの詩人、ウェルギリウスの詩にインスピレーションを受けて作曲したそうです。
弦楽のためのアダージョは弦楽合奏版が有名ですが、弦楽四重奏で聴くと、動きの少ない切り詰められた表現がより厳しく感じられます。また息の長い美しい音が胸に迫ってきます。
ご興味がございましたら、ぜひ聴いてみて下さい。