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最強のスポーツクラブ経営バイブル 島田慎二

利益よりも勝利すること、古株のスポンサーやブースターへの忖度、根性論などが今でもはびこるスポーツ業界で、チームとビジネスのオペレーションの両輪を回すことで千葉ジェッツを成長させた島田チェアマン。
バスケで日本を元気にすること、地域課題を解決すること、最高の環境でバスケットを楽しんでもらうための新Bリーグ基準、夢のアリーナ導入。コロナ禍でも業績を維持できたからこそのチャレンジ。ジェッツでも思ったが、ワクワクするビジョンを描くことは難しいが大切だ。無理だと非難することは簡単だが、ノーリスクの現状維持を保とうとする人より、断然応援したくなる。


【スポーツビジネス】
スポーツクラブの存在によって地域が得られる価値は人口増加やブランド向上による「社会的価値」と地域で発生する経済効果などの「経済的価値」の大きく2つがある。
・スポーツの普及、選手の育成、チームの強化など、スポーツビジネスの発展を考えていく上では、アリーナでの熱気そのものが商品になります。
クラブ経営には競技面と事業面、いわゆるチームオペレーションとビジネスオペレーションの2軸の両立が必要不可欠です。昇格/降格に左右されて、チームへの投資が進み、ビジネスには必要なリソースがさかれていないチームが多く存在している。
・言葉だけの「夢」、「地域創生」ではなく、本当の意味で地域の活力を引き出すにはスポーツは最高のコンテンツです。

【アリーナ】
・ニューヨークニックスの本拠地、MSGは365日間フル稼働され、VIPルームは事業面で活用されている。
・アリーナはスポーツを提供する場だけではなく、日本の場合は災害時の避難拠点にもなりうる。

【リーグについて】
・エクスパンション型という基準を達成すれば、何チームでもB1に所属できる仕組みになっている。チーム数を限定してその希少性でブランド価値を向上することもできたが、Bリーグの目標はバスケットで日本を元気にして、地域社会の課題を解決することです。
・新B1が売上20億円を超えることができれば、世界2位の規模になれる。
・コロナ禍以前に平均で4000人前後を動員できていたチームは千葉ジェッツ、宇都宮ブレックス、川崎ブレイブサンダースの3チームだけ。
・千葉ジェッツの試合を観戦するときはディズニーランドに行くような非日常感や興奮を味わえるよう、最高の空間で観戦してもらいたい

【千葉ジェッツ】
・再建への13のミッション。組織運営は感情論になりがちだが、スポーツの場合、その傾向が強くなる。「人は憎まず、仕組みを憎む」という観点から、これをクラブの法とました。
1.ブースターの皆様にとって身近で愛着のある存在になります。
2.ブースターの皆様の声に真摯に耳を傾けます。
3.ブースターの皆様と喜び、感動し、一体感を共に味わうことを大切にしていきます。
4.パートナーの皆様の協賛価値を共に向上させます。
5.ボランティアの皆様・フライトクルーと共に試合興行、イベントを作り上げていることを忘れません。
6.地域の皆様の誇りになれる存在になります。
7.子供達の夢見る舞台を継続的に提供していきます。
8.プロスポーツチームだからこそできる社会貢献をを果たします。
9.地域を盛り上げるために積極的にイベントに参加します。
10.共にサービスを提供する取引業社との絆を深めます。
11.選手はチームワークを大切にし、愛され、そして勝てるチームになります。
12.スタッフは一致団結し、働きがいのある環境を皆んなで創ります。
13.スタッフ・株主が成果に対するリターンを享受できる組織になります。
・ヘッドコーチや選手が変わるたびにチームの理念やスタイルを変えるのではなく、まずクラブとして「どんなスタイルを目指すか」を決めて、それを実現できるヘッドコーチや選手を取るという戦略にした
・知名度も低い弱小チームに2億円が集まった。「打倒トヨタ!」をスローガンに悪戦苦闘しながらもストーリーにパッションとリアリティのある数字を埋め込み、多くの企業の共感を得て資金を獲得した。
・肝心なのは「理念」「ストーリー」「パッション」。「B1に昇格する」というのは目標であって、ストーリーではない。地域にもたらすベネフィットなどの具体性をストーリーに着色していかなければなりません。
・スポンサーと良好な関係を続けていくときに一番肝心なのはスポンサー企業の社員の皆様です。
・チームの魅力、エンターテイメントの魅力、ホスピタリティの魅力において最高のものを提供することができれば、勝っても負けてもサポーターは離れていかない。

【クラブ運営】
・認知、興味を高めるためには接点を1回持つだけでは難しく、さまざまな手段で10回以上接点を持つことが重要
■宇都宮ブレックス
・自治体との連携。自治体との全部署や消防署などの全ての期間を1つづつ地道に回り、イベント参加を獲得してきた。同時に実施回数(400回)を対外的にも発表して目標達成を目指した。地域との連携、地域のポスターなどに選手を積極的に露出、ポスター制作をクラブが受託することでwin-winの関係を構築。
■秋田ノーザンハピネッツ
・試合40分前にはみんなで秋田県民歌を熱唱し、応援コールも「ゴー!ハピネッツ!」だけではなく、「ゴー・秋田!」も組み入れて地域愛に対する取り組みをおこなっている。秋田を盛り上げる取り組みを行うことで「シビックプライド(都市に対する市民の誇り)」を醸成しようとしている姿勢が強い。
■川崎ブレイブサンダース
・興行においては
「アリーナ前」:武蔵小杉駅前の広告やサンダースクエアでのアトラクションやイベント
「試合前」:オリジナル飲食物やテンションの上がる会場内の装飾
「試合中」:売上の大きかった背番号入りTシャツの販売をやめ、ユニフォームでの応援に統一するユニフォーム文化の向上や新規顧客向けの丁寧なルール説明
「試合後」:見やすいゲームレポート
を観戦の1つの流れとして考え、観客が体験する設定をしっかりとし、投資をすることで顧客満足度を向上させた。

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