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今年はもっと祖母を撮ります。

「私が死んだら、そのビデオ出してや。ばーちゃんの生き様、っちゅうて」

台所でカレーを作る祖母。

縁起でもないことを言ってくれるな!
そう思いながら、僕はファインダー越しに祖母を見つめる。

両親が共働きなので、実家で一緒に暮らしていた祖母に育てられた。
「ばーちゃんカレー」が今でも僕の一番の好物だ。

でもしばらく見ないうちに、また少し背中が小さくなった気がする。
台所に立っていられる時間も年々短くなっているようだ。
足腰の調子もよくないらしい。
離れて暮らすようになって6年。久しぶりに会うと、いつも変化に驚く。
でも、当たり前だよな。どうしたって、時間は過ぎていく。
どうしたって、人の生は進んでいく。
だからこそ美しくて、儚くて、愛しい。

年末年始は、そんなことを考える帰省になった。
孫たちと一緒にトランプして、めっちゃ楽しそうだったな。また近いうちに帰ろう。

うちの祖母は、過酷な道を歩んできたとは思えないくらい、可愛い笑顔をする。

やっぱり愛しいぜ。

同じ瞬間は二度と訪れないからこそ、
肩肘張らずに、その愛しさを撮っていきたい。

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