「我が青春のドイッチュラント」エピソード(6)小指の思い出
ドイツ南西部、バーデン=ヴュルテンベルク州の街、フロイデンシュタットに行ってみた。「歓びの街」って、どんな所だろうと興味が湧いたから。
公園には花が咲き乱れ、噴水もあちこちに。清潔で、美しい街という印象。
両替をするためドイツ銀行に行った。どっしりとした立派な建物で、木製の扉も厚くて重く、よいしょっと手に力を込めないと動かせなかった。
両替を済ませ出ようとしたとき、ドアに指を挟んだようで、激痛が走った。
外に出てよく見ると、疼いているのは左手の小指で、幸い折れてはいなかった。
何日間、痛みが続いたのか覚えていないけれど、或る日、小指が変形していることに気付いた。
これがケッサクな話で・・・。
私は生まれつき両小指の先が曲がっていた。
が、傷めた小指はほぼ真っすぐになっていたのだ。
この話を誰かにして小指を見せると、第一関節から内側に曲がっている方をドアに挟んだと思うだろう。
ときどき左手の小指を眺めては、「これも旅の記念かな。」と思う。
それにしても幸運だった。もし折れていたらと思うとゾッとする。
真っすぐにしたいからと、今度は右手の小指をどこかに・・・・・。