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【第144回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

COMPUTER: This is your automated, Captain. Would you care for more mimosa?「こちらは自動操縦士。カクテルのお代わりは?」
Mr. Incredible: Don’t mind if I do. Thanks. 「もらうよ。どうも」

「Mr.インクレディブル」

Don’t mind if I do.
あまり聞かない英語ではないでしょうか。主語を入れて、do を明らかにして書くと、

( I ) don’t mind if I ( have more mimosa ).

です。

mimosa はシャンパン(スパークリングワイン)とオレンジジュースを混ぜて作るシンプルで爽やかなカクテルの一種です。

I don’t mind if … は「もし…しても私は気にしない(抵抗ない) 」なので、「私はカクテルを飲んでも気にしない」 = 「私はカクテルを飲むことに抵抗ない」 = 「カクテルを飲んでもいいです」 = 「カクテルいただきます」となります。

何かをすすめられて、「遠慮なくいただきます」というのは Don’t mind if I do. で表せます。

この表現は、食べ物や飲み物を勧められた時だけでなく、相手の提案などを受け入れる時にも用いることができます。

それじゃ、遠慮なく」 や 「じゃあ、お言葉に甘えて」や「ありがたくいただきます」という感じですね。

A: “Would you like some more pasta?”  「もう少しパスタを食べる?」
B: “Don’t mind if I do. That looks delicious!” 「じゃあ、遠慮なくいただこうかな。美味しそう!」

A: You can sit here.「ここに座ってもいいですよ」
B: Don’t mind if I do. 「ではお言葉に甘えて」


Helen: I'd like to speak with Edna. 「エドナを」
Edna Mode: This is Edna. 「私よ」 
Helen: E? This is Helen. 「ヘレンよ」
Edna Mode: Helen who? 「どこの?」
Helen: Helen Parr? You know...Elastigirl. 「ヘレン・パー。だから…イラスティックガール」

「Mr.インクレディブル」

ヘレンがエドナに電話をかけるシーンです。

Helen who?
エドナが電話でヘレンに聞いた Helen who? 「どこの(ヘレン)?」です。Helen っていう名前はたくさんいるので、「どこのヘレン」なのかエドナは聞いたのです。

聞かれたらヘレンは、Helen Parr と“苗字(Parr) ”と以前のスーパーヒーローの名前である“イラスティックガール” を付け加えて答えました。

〇〇who? と “who” をつけるだけなので簡単と言えば簡単なのですが、パッと口から出てこない表現ではないでしょうか。

「どこの〇〇さん?」と考えてしまうと、「どうやって英語に直すのか???」となってしまいそうです。

名前ではなく次のように役職で説明してもOKです。

A: “This is Suzuki.” 「鈴木です」
B: “Suzuki who?” 「どこの鈴木さん?」
A: “Suzuki, the president of the company.” 「社長の鈴木です」
B: “Oh, I’m so sorry! I should have recognized your voice” 「申し訳ありません。声で気づくべきでした」

仕事場でこういうのってありえるかもですね…わざと社長が電話してきて社員の電話対応を確認するとか… これも昔の話でしょうか…


Edna Mode: Darling! It’s been such a long time after all these years! So long! 「ダーリン。元気だった?久しぶりじゃないの」
Helen: Yes, yes, yes. It’s been a while. Listen, there’s only one person Bob would trust to patch his supersuit and that’s you. 「ボブのスーパースーツを直したのはあなたね?」

「Mr.インクレディブル」

It’s been such a long time after all these years!
It’s been a while.
①、②とも“久しぶりに会った“人に言う言葉です。「久しぶり!」ですね。

「久しぶり!」という類似表現はいろいろあって面白いです。他にも次のような表現があります。

Long time no see!
It’s been a long time since we last met.
It’s been ages!
It’s been a long time!

他にももっとあると思いますが、今までにその中でもよく聞いた英語は、It’s been a while! と Long time no see! ですね。


Edna Mode: Yes, yes, yes. Marvelous, isn’t it? Much better than those horrible pajamas he used to wear. They are finished. When are you coming to see? 「新作に比べたらあんなのボロパジャマよ。完成したわよ。見にくる?」
Helen: Look, I’m calling about...
Edna Mode: Don’t make me beg, darling. I won’t do it, you know. 「無理にとは言わないけど」

「Mr.インクレディブル」

Don’t make me beg, darling.
直訳は「私を懇願させないで」です。これはエドナが When are you coming to see? 「(いつ)見にくる?」と言ったことに対して、ヘレンがはっきりと答えなかったことに対して言ったのです。

すなわち「お願いだから新作のスーツを見にくるように、私に言わせないで」です。

字幕の「無理にとは言わないけど」も自然な日本語で素晴らしいです。

beg は「懇願する」ですが、昔見た映画で “Beg!” の字幕が「土下座しろ!」になってたのを思い出します。

土下座という文化は西洋にはないので、日本人向けの字幕だと思いますが、それだけ”心からのお願い“を表す語なのだと感じました。

でもこの Don’t make me beg! という表現は、言いたいことはわかるのですが、訳しにくい表現です。「私にそこまで言わせないでよ」でもいいですね。

彼にそこまで言わせるなんて恥をしれ!
Don’t make him beg—shame on you! ( shame on you! 「恥を知れ!」 )

必死さ”が感じられる beg なので He begged his mother. は状況によっては「彼は母親に泣きついた」とも訳せます。

でも、日本語の「懇願する」という表現も考えてみると“固い表現”ですね。日常会話ではあまり使わないのではないでしょうか。ですからインフォーマルな場で beg という言葉が使われた時、「無理にお願いする」など訳にも一捻り必要かもしれません。

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