【第89回】ディズニー映画「ベイマックス」の色々なシーンから使える英語表現を掘り下げてみました。
One foot in front of the other.
直訳は「一つの足をもう一方の足の前に( 出して )」です。
充電切れの寸前のベイマックスは、足がふらついて歩くことすら困難なので、“歩き方”の基本( = 一つの足をもう一方の足の前に出すこと )をヒロが教えて、充電器にベイマックスを連れて行こうとしています。
リハビリとかでももちろん使えますが、比喩的に次のように「一歩一歩前進する」と言った意味でも使えます。
Let’s keep going, one foot in front of the other.「さあ、一歩一歩頑張って進もう!」
人を励ます時、You can do it! などはよく使うので、たまにはこの one foot in front of the other を使って激励をすればカッコいいかもしれません…
① physical reassurance
「身体的な安心感」、すなわちハグしたりして相手に安心感を与えることです。
reassirance の動詞は reassure で「安心させる」という意味があります。この assure は、re (再び) + assure (断言する) に分解できます。
不安そうな人に“再度” 大丈夫だと“断言してあげる“ と、”安心させる“ ( = assure ) ことができます。
assurance は assure (安心させる)の名詞なので「安心感」という意味になります。
ですから reassure と assure はよく似ています。どちらも「安心させる」です。でも、re- は「繰り返し」なので reassurance は一度だけでなく、繰り返し安心させてあげるというニュアンスがあります。
こういったことも英語の面白さの一因ですね。
② There, there.
ベイマックスがヒロを抱きしめるシーンで、ヒロの頭を撫で撫でしながら言っている英語です。(ヒロはちょっと嫌がってますが…)
There, there. 「そこで、そこで」ではなく、頭を撫でる時にいう「よしよし」です。こんなちょっとした英語が本当に面白いです。
あまり使う機会がないかもしれませんが、「よしよし」してる場面を見て「よしよしって英語で There, there. って言うんだよ」とちょっと英語の“物知り的”なところを見せましょう…
Let’s take care of this.
this はブヨブヨのベイマックスの体で、ヒロはその弱そうなベイマックスの体を強靭にしようと考えたのです。
そして、そのブヨブヨの体を指でつついて言った英語が、 Now let’s take care of this. です。
何度か触れてきましたが、洋画で英語を勉強するメリットの一つが、セリフと場面を合わせて覚えられることです。
take care of … は「…を世話する」ですが、このセリフのように「なんとかする」と言った場面で使われるのはホント面白いです。
ヒロに“武装”させられたベイマックスの登場です。。
① that’s kind of the idea.
相手が言ったことに対して、「そんなとこかな」と100%ではないが、「だいたいあってる」という時に使う表現です。
このヒロのセリフでは、ベイマックスが「武装すると自分のイメージが台無しになる」と言ったことに、「まあそれが狙い」と少しはぐらかしている感じです。
この That’s kind of the idea. の kind of ... がポイントです。「一種の」という意味ですが、文を弱める働きがあります。
kind of をとって That’s the idea. に帰ると「まさにそれ!」と100%賛成した意味になります。
この kind of もとても英語らしくて使いこなしたい表現の一つです。
A: “Do you like maccha pudding?”「抹茶プリン好き?」
B: “Kind of.”「まあね」
Yes とも No とも言えない時に使えます。
② You look sick.「ヤバいよ」
まず、ヒロが言った You look sick. の sickはスラングで「むちゃくちゃいい」という意味があります。
字幕の「ヤバい」は「メチャクチャいい」と言う意味でも用いられるので名訳だと思います。
③ I cannot be sick. I am a robot.「危険はありません」
You look sick. 「ヤバい」と言われたベイマックスは、sick を「病気の」という意味でとってしまい、I cannot be sick. I am a robot.「病気にはならない。ロボットだから」と答えたのです。
スラングを理解していないベイマックス ー 何か愛嬌がありますね。
ここで「???」と感じたのはその字幕です。字幕は「危険はない」となっていますが、ここは「病気じゃない」と言う方がいいのではないかと思いました。
「危険はない」だと“病気が誰にもうつらない”ということになってしまうと思います。その可能性は確かにあるかもしれませんが、シンプルに「病気ではない」という方がわかりやすいのではと思うのですがどうでしょうか。ここだけは字幕は別の方がいいのではと感じた次第です…。