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【第84回】ディズニー映画「ベイマックス」の色々なシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

ヒロ: It doesn't look like much, but when it links up with the rest of its pals... ...things get a little more interesting. ( 中略 ) If you can think it, the microbots can do it. The only limit is your imagination. 「見た目は地味ですが、集合すると…面白いことができます。考えればその通りになる。想像力のままに」

「ベイマックス」

ヒロが発表会で、発明した microbot のプレゼンをする場面です。

It doesn't look like much, but ...
It doesn’t look like ... は「…のようには見えない」ですが、”much” の意味がポイントです。

much は「たくさん(の)」なので、「たくさんのように見えない」ですが意味がわかりません。

そこで “much” の意味を英英辞典の Werriam-Webster で調べてみると、

“something that is important or impressive — used in negative statements”

「Werriam-Webster」

重要なもの印象的なもの」で否定文で使われる」とありました。

すなわち、「それは特に重要なものには見えない」という意味になります。字幕の「見た目は地味」は素晴らしい訳だと思います。

よく使う日本語で「見た目はショボいけど」がありますので「ショボい」(多分日本語のスラング)でもいいですね。

This dish doesn’t look like much, but it tastes amazing.”「この料理は見た目は大したことないけど、味は素晴らしい」

This healing robot doesn’t look like much, but its performance is outstanding.「この癒し系ロボットは見た目はショボいけど性能は抜群です」

The only limit is your imagination.
直訳は「唯一の限界は自分の想像力だけだ」です。言いたいのは、「想像する」ということに限界線を設けてはいけない、ということです。

「これは無理だ」と思うか思わないかもあなたの想像力次第だ、というこの表現は素晴らしいと思ったので取り上げました。


キャスおばさん: That's my nephew! My family! I love my family! 「サイコー。あれは私の甥っ子よ!」
タダシ: Nailed it!「やったな!」

「ベイマックス」

nail は「釘を打つ」ですが、「…を完璧にこなす」という意味もあります。

ここでの Nailed it! は ( You ) nailed it! で主語が省略されています。また it は the presentation (ヒロのプレゼン)です。ですから、「プレゼン完璧だった」という意味です。

では、どうして元々「釘を打つ」 という意味のnail が「完璧に行う」という意味になるのでしょうか。

それは、釘を何かにまっすぐ打ち込むには、釘の頭をハンマーで打つという作業を確実に、そして完璧に行う必要がある、というところからきています。(実際は“完璧”というのは大袈裟ですが…)

「釘を打つ」行為と「完璧に行う」の関連を頭に焼き付けておくと nail という語が定着していきやすいです。

これまでの記事でも、ある英単語に全く異なった意味の日本語訳がある場合、それぞれの日本語を関連づけることの大切さを折に触れて書きましたが、英語の定着には欠かせない作業だと思います。


キャラハン教授: This is your decision, Hiro. But you should know Mr. Krei has cut corners and ignored sound science to get where he is.「気をつけたまえ。彼は汚い手を使って成功した男だ」

「ベイマックス」

cut corners
「手抜きをする」という意味があります。直訳は「( 道の )角( corners ) を削除する ( cut )」で、「本来角を曲がっていくところを近道する」というところから「手抜きをする」という意味が出てきます。

キャラハン教授が言った “Mr. Krei has cut corners and ignored sound science to get where he is.” の直訳は、

「クレイ氏は現在の地位を手に入れるために、手を抜いて健全な科学を無視した」です。

でも字幕の「汚い手を使って」というのも「手を抜く」と考えてみれば関連があり、素晴らしい字幕だと思います。

この cut corners は「手抜き〇〇」でいろいろと使えます。

They cut corners in construction.「手抜き工事を行った」

Recently I often cut corners in my cooking. 「最近よく手抜き料理をする」

He often cuts corners during practice.「彼はよく練習で手を抜く

手抜きの場面を見たら cut corners を使いましょう。


キャラハン教授: I wouldn't trust Krei tech with your microbots, or anything else.「私なら発明品を彼には渡さない」

「ベイマックス」

trust (人) は「(人) を信頼する」ですが、後ろに with が来て trust A with B だと「AがB を扱うのを信頼する」「AにBを安心して託す」という意味になります。

この trust に with を伴った構文はあまりお目にかからないので、意味が取りにくい表現ではないでしょうか。

このキャラハン教授の言葉は “wouldn’t” があるので仮定法です。

意味(直訳)は、「僕ならクレイ・テック社に、君のマイクロボットもそれ以外のことも任せないだろう」です。

I trusted the babysitter with my kid.「ベビーシッターに子どもを任せた」

I cannot trust him with important work.「彼には大切な仕事を任せられない」

Do you think I can trust her with my secret? 「彼女に秘密を打ち明けても大丈夫かな」⇦ 直訳「私は彼女に秘密を託すことができるかな?」

この trust の言い回しは、なかなか使いづらい英語表現かもしれませんね。

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