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【第143回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
BOB: Isn’t that my decision? 「僕の希望は?」
Edna: Do you remember Thunderhead? Tall, storm powers. Nice man. Good with kids. 「サンダーヘッドを覚えてる?パワフルで子供の人気者」
BOB: Listen, E...
Edna: November 15th of ‘58. All was well, another day saved when his cape snagged on a missile fin. 「1958年11月15日。悪を倒したけど…マントがひっかかって…」
過去のスーパーヒーローの失敗をエドナが1人ずつ上げていきます。
① Good with kids.
(Thunderhead is ) good with kids. です。意味は、「(ヒーローの)サンダーヘッドは子供と接するのが上手だ」です。
「…が上手である」は be good at ... がよく知られていると思います。
She is good at singing songs. 「彼女は歌を歌うのが上手だ」
この2つの違いは、 be good at ... は「能力や技術に優れている」という意味があるのに対して、 be good with ... は、「人、ものなどを上手に扱ったり、上手に関わったりする」能力を指します。
すなわち、be good with ... は、柔軟性や対処能力、気配りのうまさなどに焦点があります。
She’s good with computers. 「彼女はコンピュータの操作が得意だ」
You’re good with money. 「あなたはお金の管理が上手ですね」
I’m not good with pressure. 「私はプレッシャーに弱い」
ちなみに私は家で犬(オス)を飼ってるのですが、I am not good with him. です。なぜなら、昔飼っていた犬に親指を思い切り噛まれたことがあり、それ以降は犬を抱くのも怖い…トラウマというやつですね。
② when his cape snagged on a missile fin.
snag on … で「…に引っかかる」という意味があるので「彼のマントがミサイルのフィンに引っかかった」という意味になります。
動詞の snag はあまり聞かないのではないでしょうか。言い換えると、his cape got caught on a missile fin です。get caught で「捕まる」「引っかかる」という意味になり、こちらの表現の方が馴染みがあると思います。
2つの類似表現に出会うとその違いが気になります。ChatGPT によると
“Snagged” suggests that the cape was caught unexpectedly or in a way that caused some damage or inconvenience
“Got caught” is more neutral and straightforward, simply indicating that the cape became entangled or hooked on the missile fin.
「snagged は何かが引っかかった結果、ダメージ(損傷)を引き起こすのに対して got caught はニュートラルな表現で“引っかかった”という事実だけを示している」ですね。
服が釘に引っかかり破けたりした時は、Her dress snagged on a nail. と、got caught よりも、snagged を使った方がよりそのニュアンス が伝わると思います。
BOB: You know I’m retired from hero work. 「ヒーローは引退した」
Edna: As am l, Robert. Yet, here we are. 「私もよ、ボブ。でも始まる」
① As am l,
ボブが I’m retired from hero work. 「僕はヒーロー業から引退したんだ」と言ったことに対してエレナが As am I と答えたのです。
この As am I は聞きなれない表現ですが、前の文の内容に「自分も同じだ」と賛同・同意する表現です。
すなわち「私もそうよ(=私も引退してるわよ)」です。固い言い回しなので、日常会話には普通 So am I が使われます。
② Yet, here we are.
here we are は「さあ到着した」という意味でよく使いますが、ここでは直訳の「でも(Yet) 私たちはここにいるじゃないの」という意味です。
エドナとボブは2人ともヒーロー業を引退したのですが、今ここに再び2人が出会い、またヒーロー業に携わろうとしているのを Here we are と言ったのです。
私はまず直訳してそこからいろいろ考えて行くのが好きですが、このHere we are. は直訳そのものがその状況を表している表現です。
< 家の電話がなる>
BOB: I got it, I got it! Don’t answer it, honey, I got it! Hello? 「ヘレンでなくていい。僕が取る」
Mirage: We have a new assignment for you. How soon can you get here? 「新しい任務よ。いつ来られる?」
How soon can you get here?
直訳は「どのくらいすぐにここに来れる?」です。そこから「どのくらいでここに来れる?」となります。
”いつ来れるか“ を聞く時、When can you get here? と尋ねるのが一般的でないでしょうか。
When …? は単にいつここに来れるのかを聞いてるだけですが、How soon …? は、「早さ」を強調していて相手がどれくらい早く来れるかを聞いています。
つまり、できるだけ急いできて欲しい」というちょっとしたプレッシャーを相手に感じさせることができるのが How soon can you get here? です。
日本語字幕は「いつ来られる?」となっていますが、答え方は In 10 minutes. などと答えるのが普通です。
それに対して、When can you get here? は At three. などと時間で答えるのが普通です。
HELEN: Who was that, honey? The, uh, office? 「誰からだった?会社?」
BOB: Another conference. Short notice, but you know...duty calls. 「また出張だよ。急だけどー仕事だから」
Short notice, but …
直訳は「短い通知 (notice)」です。そこから「急な知らせ(連絡)」という意味になります。また、後ろに but があるので「急な知らせだけど…」という、よく使う前置きの表現です。
でも普通は「急な知らせで申し訳ないけど…」と言うので、Sorry for the short notice, but … とよく使われます。
他にしっくりくる日本語は、「急で悪いんやけど」や「突然で申し訳ないけど」です。日本語もいろいろ考えると面白いですね。
Sorry for the short notice, but we need to reschedule the meeting. 「急な話で申し訳ないですが、会議を変更しなければなりません」