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【第120回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

ラッセル: You ok, Kevin? You know what, Mr. Fredricksen? The wilderness isn't quite what I expected. 「フレドリクセンさん。自然界って期待したのと違う」
カール: Yeah? How so? 「そうか。どう違う?」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

◇ How so?
直訳は「どのようにそうなのか?」です。The wilderness isn't quite what I expected 「自然界って期待したのと違う」のセリフでいうと、ラッセルが“元々自然界 ( wilderness ) に抱いていたイメージ” と“実際に経験した自然界の違い” が「どのように違うのか」の具体的な説明を求める質問が How so? です。

How so? は How is it so? の短縮形です。「具体的にどういうこと?」という日本語がいいかもしれません。

自然界の例は少し難しいので“高校生活”の例を取り上げたいと思います。

A: High school life is not what I expected. 「高校生活は私が思ってたのと違う」
B: How so? 「どう違うの?」
A: I expected high school to be full of fun and freedom, but it turned out to be much more stressful than I thought. 「高校生活は自由で楽しいものだと思っていたが、思った以上にストレスの多いものだった」

この例では、高校生活に期待していたもの ( what I expected ) は、「楽しくて自由」。それに対して実際の高校生活は「ストレスが多い」。この対比が How so? 「どう違うの?」への回答です。


ラッセル: And afterwards, we go get icecream that fattens. I always get chocolate and he gets butter brickle.  「終わるといつもアイスを食べたの。僕はチョコ。パパはバタースコッチ」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

And afterwards, we go get icecream that fattens.
字幕では訳されていませんが、 fattens は「太らせる」という意味なので「太らせるアイスクリームを食べに行く」になります。普通はそんなこと言わないので、ちょっとユーモラスな表現ですね。

fatten は「太らせる」という他動詞なので ... that fattens ( you ). と you が省略されています。

まず fatten という動詞ですが、 fat ( 太った ) + en ( 動詞化 ) = 「太らせる」になります。

en” は接尾語、接頭語のどちらでも用いられ、その語を動詞に変化させます。

enlarge = en + large ( 大きい ) = 拡大する
enrich = en + rich ( 豊かな ) = 豊かにする
shorten = short ( 短い ) + en = 短縮する

などなど、いろいろな語が “en” が付いて”動詞化“ しますので、”en” だけでなく様々な接頭語や接尾語とその意味を覚えておくと、重宝すること違いないです。

fatten を使った文をあげておきます。

Eating too many sweets will fatten you up.「甘いもの食べすぎると太るよ」

fatten ... up の方が fatten よりもインフォーマルに響きます。

また「太る」を意味する gain weight. を使って、Eating too many sweets will make you gain weight. とも言えます。


マンツ: Careful, I want it in good shape for my retirement. 「慎重に運べ。無傷のままで連れ帰る」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

直訳は「私は退職 (retirement) のためにそれをよい形で (in good shape) 欲しい」です。it は捕獲したケヴィン(巨大な鳥)のことです。

I want it in good shspe. は、捕獲したケヴィンを“良い形のままで確保したい”というマンツの願望が込められた表現です。

for my retirement ですが、マンツは退職後に、ケヴィンを捕まえたんだという名声を得たいという願望のために使ったのではないかと推測できます。

このセリフで私が感心したのは in good shape の日本語字幕です。「よい形のままで」を「無傷のままで」と言い換えていますが、素晴らしいですね。

「良い形のままで」よりもずっと自然な日本語だと思うからです。これまでも素晴らしい日本語字幕に出会ってきましたが、日本語のストックがいかに少ないかを実感してしまいます…


マンツ: And they wouldn't believe me. Just wait till they get a look at you! 「連中は信じなかった。やっと私の汚名も晴れるよ」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

Just wait till they get a look at you!
ついに熱望していた鳥(ケヴィン)を捕獲した後にマンツがつぶやいたシーンです。

直訳は「ただ、あいつらがお前を見るまで待つだけだ!」 です。you は鳥のケヴィンのことで、言いたいのは「お前(ケヴィン)を見れば奴らもオレの功績を理解するだろう」です。

それだけこの鳥を喉から手が出るほど欲しがっていたのです。

この英語で取り上げたいのは get a look at ... です。「…を見る」という熟語であるのは分かりますが、 get ではなく have a look at ... がよく用いられるのではないでしょうか。

この2つの違いですが、have は「持っている」という状態を表すのに対して、get は「得る」という動作を表す語なので、 get a look at ... の方がより“見る”のを強調しているのだろうと推測できます。

そこで確認のため ChatGPT に聞いてみました。

Get a look at you” adds an excited tone and highlights the expectation of a strong reaction when others see the person for the first time.

ChatGPT

「”get a look at you” はワクワクしたトーンを加えて、初めてその人を見た時、強い反応を期待する表現」とのことです。

Just wait till they get a look at you. も、「捕獲した鳥を見たらみんな驚くこと間違いなし」とマンツがワクワクしているシーンなので get a look at ... が使われていると解釈できます。

have  と get のちょっとした違い ー 本当に面白いですね。

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