ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。【パート70】
今回で「インサイドヘッド」も最終回です。
人間の感情という複雑なものを「悲しみと喜び」を中心に、そこに「怒り」や「ビビり」、「ムカつき」をうまく融合させた作品になっていました。
ジョイが心の変化と共に成長していく姿がとても印象的でしたね。また、悲しみという感情の大切さも学ぶことができました。
それでは“使える表現”を見ていきたいと思います。
① We were worried sick! Where have you been? It’s so late!「心配したわ。どこへ行ってたの?」
誰かが遅く帰ってきた時はこの3文でOKです。このような“ワンセット”になった英語はそのまま覚えて口に何度も出すのが定着への早道です。
We were worried sick. の “sick” は、「アナと雪の女王」のところで一度出てきましたが、”beworried sick” で「とても心配している」や「心配で心配でたまらない」という意味です。
病気になる ( sick ) ほど心配するというところからきていると思うのですが、日本語的な考え方では、 worried と sick がセットになっているのはどうもしっくりいかないです…。
最初この “be worried sick” の表現に出会った時、「心配し過ぎて体をこわしてしまった」というふうに思ってしまいました。
でも、こうやって「前も出てきた!」とワクワクする心も英語の定着には欠かせないと思います。
もっと言えば、たくさん同じ語彙や表現を目にすればするほど定着率もあがっていきます。多読、多聴が大切ですね。
Where have you been? も決まり文句ですが、「どこにいたの?」は Where were you? とも言えます。この2つの違いはシンプルで、過去形と現在完了形が持つイメージの違いだけです。
過去形の Where were you? は過去の一点のみにフォーカスしてるので「(ある過去の時点に)どこにいたのか?」を聞いてるだけです。
現在完了形は「過去から現在」の「現在」にフォーカスしているので Where have you been? は、「(過去から今までの間)どこにいたのか?」を聞いており、「一体どうしてたのか?」と相手を気遣ったり、心配しているニュアンスが含まれる場合が多いです。
探し回ってやっと見つけた人に対して Where have you been? はピッタリですね。
② Hope that’s just a phase.
字幕は「恐ろしい」ですが、直訳は「それが一時の流行りであればいいが」 です。
“a phase” は「ある段階」のことで、次の段階、またその次の段階と進んでいくので、「一時的な流行り」、「一時的なもの」という意味になります。
でもよく考えると「ある段階」が「一時的な流行り」に結びつくのって案外難しいですが、「ある段階」というのは変化するので「一時的に流行ってるもの」だと覚えておくと忘れにくいです。
a phase で思い出したのが、昔流行ったルーズソックスです。初めてルーズソックスなるものを目の前で見た時、違和感が半端なかったです。「なぜこんな不恰好なもの履くのか…」と。
徐々に慣れてきましたが…。そんな時に言えるのが、Hope that’s just a phase. です。確かに、その時の私の気持ちが「恐ろしい!」だったのでこの字幕もピンときましたね…。
ちなみにルーズソックスのことをアメリカ人の方が elephant socks ( ゾウのような靴下 )と呼んでいました。言い得て妙ですね…。
また、子供の反抗期に手を焼く親の心境も Hope that’s just a phase. に違いありません。
③ you be aggressive! 【 】
But not too aggressive. 【 】
両親がホッケー場でライリーにゲキを飛ばしているシーンです。
日本語字幕が「なるほど!」と感心したので取り上げました。
aggressive は「攻撃的な」、「挑戦的な」と言う意味ですが、実際に会話や文の中で出てくると訳しにくい語ではないでしょうか。
上手く訳せないので、仕方なくカタカナの「アグレッシブな」を訳に当てることも度々あります。
ここでは、ホッケーの試合に出る娘に対して父親が、”you be aggressive!” と励ます表現ですが、「アグレッシブに行け」と私なら訳すと思います。でも字幕は、
「強気で攻めろ!」
で、なぜかスッキリとしました。上手い訳だなと…感心です。
ちなみに、”you be aggressive!” の you はなくてもいいのですが、命令形の強調として用いられています。
その父親の言葉に対して母親は、”But not too aggressive.” と返します。これも私なら「そんなにアグレッシブに行かなくてもいいわよ」ぐらいに訳すと思うのですが、字幕は、
「ほどほどに」
です。この「ほどほどに」はなかなか出てこない日本語ではないでしょうか。
最後に、これまで取り上げたディズニー映画もそうですが、この「インサイドヘッド」も”使える英語“だけでなく、素晴らしい日本語字幕も満載で、とても勉強になりました。