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【第98回】ディズニー映画「ベイマックス」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

ワサビ: You want to dance, masked man? 'Cause you'll be dancing with these.  Hand over the mask, or you'll get a taste of this! And a little bit of that! Hey! I did all right. Is that all you got?「ダンスしたいなら踊ってやるぜ。仮面をよこさないとこれを食らうぞ。チョロいじゃん。もう終わりか?
< 足元の攻撃に気づかず >
ワサビ: You got that, too?「これもアリ?」

「ベイマックス」

上からの攻撃はかわしたが、足元の攻撃に動けなくなってしまった時にワサビが言った言葉です。

このワサビのセリフには “get” を中心に簡単な語句を使った“使える英語”がたくさんあるので紹介したいと思います。

① you’ll get a taste of this
taste は「味」なので get a taste of… で「…を味わう」になります。

食べ物以外でも使えるので Get a taste of it! で「ちょっと体験してみて!」と何かを少しだけやってみるように勧める時にも使います。

字幕では「食らうぞ」になっていますが、子供の遊びなどで光線を手から出したりする時に Get a taste of this! 「これを食らえ!」です。 よくよく考えると、この「食らう」という日本語もユニークですね。特に“食べる”とは関係ないですが、日本語の口語表現だと思います。

食べ物で使う時には Try it.「食べてみて」という言い方もありますが、Get a taste of it. との違いは、Try it. はしっかりと(量を)食べますが、Get a taste of it. は、少しだけ食べてどんな味か確かめる時に使います。

ですからデパートなどの試食は少しだけ味わうget a taste of … の方がいいと思います。

I did all right.
意味は「まあまあ(できたかな)」です。

Are you ok? —- Yes, I’m all right.「大丈夫だよ」と言うようには all right にはポジティブな意味合いがあります。

ですから I did all right. も結果が期待ほどではないけれど、そこそこ満足しているときに使います。

「完璧ではないけど、まあまあうまくやった」という感じですね。

「まあまあ」と言えば So-so. という言い方もありますが、So-soはニュートラルな表現で、I did all right. のようなポジティブなニュアンスはありません。

A: How was the test? 「テストどうだった?」
B: I did all right. 「まあまあよかったかな」

ワサビが言った I did all right. は自分の攻撃が終わって「よかったんじゃない?」と自画自賛しているのでしょう。

字幕の「チョロいじゃん」 は日本語のスラングで最高ですね。でも“チョロい”の“チョロ”ってなんなのでしょうね。気になる日本語です…

Is that all you got?
直訳は「それがあなたが持っている全てなの?」です。そこから「それで終わり?」と、“もうそれ以上はないのか”を相手に確認する表現です。

ここでは、相手の攻撃をかわしたワサビが「もうあんたの攻撃はそれで終わりなの?」と相手に言っているのです。

たったこれだけ?」と期待してた量や数と違っていた場合にも使える表現です。

You got that, too?
字幕は「これもアリ?」ですが、相手の攻撃をかわしたワサビが、気づかないうちに足元を攻められて、動けなくなってしまったシーンで言った一言です。

この表現を取り上げたのは、このシーンと You got that, too? がピッタリと合っていたからです。

動きとセリフが一体となった時、英語はより頭に定着していきます。動画で英語を学ぶ良さですね。


ヒロ: But, Tadashi. You just let him die?「兄さんを見殺しにしたのか?」

「ベイマックス」

このセリフからは「…させる」の let と make の違いを見ていきたいと思います。

let と make の違いは参考書などでも取り上げていますが、この let him die はとても秀逸な例だと思います。

let” の「〜させる」は「〜するのを許す」といった意味です。「〜させてあげる」ですね。日本語で「〜させる」と言えば普通は“強制”のニュアンスが含まれると思うので、注意が必要です。

My mother let me go out. 「お母さんは私が外出するのを許してくれた」

そこで、ヒロのセリフの You just let him die?ですが、直訳は「彼が死ぬのを許したのか?」です。変な言い方ですが「死んでもいいよ」と許可を出しているようなものです。そこから、「彼が死ぬのをそのままにしておいたのか?」というニュアンスが生まれ、「彼が死ぬのを放置したのか?」という意味になります。

つまり、「助けることができたかもしれないのに、なぜ何もしなかったのか?」という責めるようなニュアンスになるのが、You just let him die? です。

そう考えると日本語字幕の「見殺しにしたのか?」は let him die を見事に言い表していると思います。言われてみれば、なるほどと思ってしまうのですが、「見殺しにしたのか?」という日本語が You just let him die? を見て、なかなか出てこないのではないでしょうか。

それに対して、”make” は、「強制的に…させる」です。日本語の「…させる」の多くはこの make ではないでしょうか。

He made us go home. 「彼は私たちを(強制的に) 帰宅させた」

セリフの let を made に変えて You just made him die? にすると、「あなたが強制的に彼を死に至らしめた」とあなたが積極的な役割を果たしたという意味を持ちます。

すなわち、”You just made him die?” は「あなたが彼を死なせたのか?」と、直接的にその死の原因を作ったかどうかを問い詰めています。

つまり、“let” は「放置」や「許可」、“made” は「原因を作った」や「直接的に引き起こした」という大きなニュアンスの違いがあります。

少し物騒ですが、この die を使った let と make のそれぞれの例文は、その違いをはっきりと表せているのでわかりやすいのではないかと思います。

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