pick のもつイメージを深掘りし、最後に 洋画の中で使われている 馴染みのない pick sides について考察してみました。
今回取り上げたのは、pick という語です。よく目にする語ですが、案外使いづらい語かもしれません。
pick はいろんな意味がありますが、よく使うのは「〜を選ぶ」です。choose の同義語ですが、次の例文の違いは何だかわかるでしょうか?
Please pick a card.
Please choose a card.
マジックなどで「一枚カードを選んでください」という時に使われます。
pick を使った場合は、深く考えずサッとカードを選び、choose は、考えてからカードをとるといった違いがあります。
すなわち、pick には「深く考えないで選ぶ」というニュアンスがあります。
She picked some flowers. は花をそんなに考えずに選ぶことから「花を摘んだ」になります。
「1〜10までの数字でパッと思いついた数字を言ってください」も “Pick a number from 1 to 10.” です。
「シャツ何色がいい?」と聞かれて “Pick any color.” というと「どんな色でもええよ」になります。
pick は「深く考えないで選ぶ」ことですが、pick out になると、out =「外へ、最後まで」といったイメージが加わるので、「きちんと外へ選び出す」=「考えて選ぶ」= choose と同じように使います。
pick up はと言うと、「あまり考えずに上方向に上げる」=「拾い上げる」という意味になります。日本語で「あなたが好きな音楽を次からピックアップして下さい」と言われると「音楽を選ぶ」という意味になりますが、本来の pick up とは意味が違います。
最後に、映画「リメンバーミー」のシーンの中に次のような pick を使ったセリフがありましたので“ピックアップ”しました。
曾祖母のイメルダから家族か音楽のどちらかを選ぶように言われたミゲルが言い放った言葉です。
pick sides の side は「側」なので「(どちらかの)側を選ぶ」という決まり文句です。
ミゲルが言った “I don’t wat to pick sides.” ですと「僕はどちらの側かを選びたくない」ですが、イメルダはミゲルに家族か音楽のどちらかをとるように迫っているので、「そのどちらかを選ぶなんていうことはしたくない」という意味になります。
この表現を聞いたとき、take sides を使う方が多いのではと思って調べてみました。
take sides の方が「一方の側に立つ」と決定の意思が強いのが分かります。一方、pick は口語的で、単に「選ぶ」ことを強調している表現です。
家族をとるか音楽をとるかはとても重たい内容で、議論や対立をうむトピックだと考えると take sides の方が好ましいように思うのですが、ミゲルはまだ子供のためハッキリとした理由でどちらかを選ぶなんてことはできないので pick sides をサラッと使ったのではないかと思います。
“Pick up” any movies you like, and that will help you study English.