ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート53】
① what’s on tonight, Dream Production? 「今夜の夢は何かしら?」
“on” - 簡単な単語ですが、文の中での使われ方によっては、意味がとらえにくい語の一つです。
on が「接触」を表すのはご存知の方も多いと思います。その「接触」という概念から「進行している」という意味が生まれてきます。(その理由は後述)
すなわち、「何が今晩進行するの?」から「今晩のテレビ番組やイベント」など今晩予定されてるものを “What’s on?” は尋ねています。
このセリフでは、”Dream Production “ と言っているので、「夢の制作会社」に今晩の夢の内容を聞いてるのがわかります。
では、どうして接触を表す on が「進行している」」になるのでしょうか。
これは私なりの解釈ですが、接触しているというのは「ずっとそこにある」ということで、それが「その場にい続ける」=「進行している」につながっているのだと思います。
on の反対は off ですが、turn off the light は「消す」という意味で「途切れて進行が終わる」と取れます。
それに対して、turn on the light は「つける」で、「それ以降(消すまで)進行している」と捉えることができます。
そこから on の「進行」が見えてきます。
What’s going on? 「何が起こってるの?」も本来は「何が進行してるの?」です。
He spoke on and on. 「彼は話し続けた」も本来は「彼は話したが、それがずっと進行した」です。on が2つあるので「ずっと」と強調されています。
ですから、”What’s on?”「何があるの、行われるの?」の表現になるのです。
What’s on TV tonight? 「今晩のテレビは何するの?」
What’s on this weekend? 「今週末何か(イベントなど)ある?」
What’s on at the theater this week?”「今週の劇場での上演は何ですか?」
② Well, this is it. The new place.「着いたぞ。新居だ」
夢の中でお父さんがライリーに言った言葉です。
This is it. は「まさにこれだ」「これで最後だ」「いよいよだな」など多岐にわたる意味がありますが、ここでは「さあ着いたぞ」と Here we are. と同じ意味で使っています。
皆さんはこの意味でのThis is it. の使われ方を知っていたでしょうか?私は初めて耳にしました。
でも映画の良さは、映像があるので推測できるという点にあります。
この This is it. もライリーの乗った車が新居に止まった時に、”This is it. The new place.” と言ったので「到着したんだな」とという意味ではないかと推測できました。
This is it. は、全て中学の最初の頃に習う単語ばかりですが、いろんな意味がありすぎて難しいですね。
③ I know I’m not supposed to do this, but…「本当はまずいけど…」
夢にライリーの嫌なことばかり出てくるのでジョイが何とかしようとするシーンです。
直訳は「こんなことしちゃいけないってわかってるんだけど...」です。この直訳でもわかりますが、短くしたのが字幕の
「本当はまずいけど…」
です。
「本当はまずい ( ダメだ ) けど」ー 日本語としてよく使う表現で、“ストン” と胸に落ちてきます。こういうのを“口語表現”と呼ぶのだと思います。
“I know I’m not supposed to do this, but just for this time it’s an exception.”「本当はダメだけど、今回だけは例外だよ」
こんなことを言ってるの、一度や二度は聞いたことありませんか?この英語表現もぜひ覚えておきたい表現です。
④ it’s not my place to tell you how to do your job.「やり方はあなた次第よ」
place が「立場」という意味で使われています。「立場」と「場所」は結びつけやすいのではないでしょうか。
it’s not my place to tell you how to do your job. は「あなたに仕事の仕方を(つべこべ)いうのは私の立場ではない」が直訳ですが、そのエッセンスをとって、字幕は「やり方はあなた次第よ」となっているのです。
また、「立場」は「役割」とも言えるので、role「役割」を使って “ it’s not my role to tell you …” とも言えます。
これを取り上げた理由の一つに responsibility 「責任」という言葉をよく使うと思ったからです。place の方が簡単ですが、responsibility もよく目にします。
でも It is not my responsibility to tell …” というと、自分が担ってる仕事での責任という意味合いになり、かなり大袈裟になってしまいます。
適切かどうかというちょっとした判断をするなら It’s not my place to … で十分なので、place か responsibility かは状況次第になってきます。