ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート62】
ホッケーの試合を途中で投げ出して観客席に戻ってきたライリー…。
① What’s the point?「ムダよ」
“point” はここでは「要点」という意味です。元々、point は「一つの点」なので、その一点にまとめられたもの、すなわち、贅肉を取り払って残った「大切な一点」(= 要点 ) という意味になると考えると、覚えやすいのではないでしょうか。
直訳は「その要点は何?」で、純粋に尋ねる場合もありますが、相手の言動が無意味だと感じたときに使われることもあります。
ですから字幕の「ムダよ」も日本語の口語表現でとてもいいですね。
この What’s the point? は「これをしても意味がないのでは?」という疑念や不満を表す場面でもよく使われます。
ここでは、母親から “You’re not going to finish tryouts.”「入団テストは?」と言われて、「入団テストを受ける意味なんてない」との意思表示が、”What’s the point?” です。
こう言われると普通は、”The point is (that) …” (それはね…) と説明するのですが、ライリーがあまりにも不機嫌だったのでお母さんは呆気に取られて何も言えなかったでしょう。
この表現は “of …” を補って次のようにも使うことができます。
What’s the point of buying natto if you don’t like it? 「好きでもないのに納豆を買うなんて意味ないでしょ」
“What’s the point of …ing?” で「…する意味って何?」 = 「…するのって無意味でしょう」という意味になります。
ただ純粋に「…する意味はなんですか?」と聞き返す時に使われることももちろんあります。
If someone says, “What’s the point of studying English?”, how will you answer?
ぜひこの質問に対する答えを考えてみて下さい。
② Stop saying everything will be all right!「もうほっといて」
これも意訳で、直訳は「全てうまく行くよ、なんて言うのやめてくれる!」です。
かなりライリーは怒ってますよね。(これも全てライリーの頭の中で操作されてる結果ですが…)
“Everything will be all right!” と言うのは相手を勇気づける言葉で、日常でもよく使われます。何か最後の決めゼリフみたいなものかもしれません。
でもこのセリフのように、前に “Stop saying” をつけるだけで、相手をビビらせてしまいます。もっと話を聞いてあげなければならなくなるでしょう。怖いですね…
この表現は、特に理解しにくい部分があるわけではないのですが、何故かとても新鮮に感じたので取り上げました。他にも、
A: Good luck!「よい幸運を!」=「頑張ってね!」
B: Stop saying “Good luck.” Luck isn’t going to help us now. 「「頑張ってね」なんて言うのやめてね。今は運ではどうにもならないんだから」
B の “Luck isn’t going to help us now.” は、「運が今私たちを助けることなんてない」ですが、「運に頼るのは今はダメだ」と “Good luck!” という誰もが使う言葉に“反論” しているのです。
他にも、”Don’t worry.” と言われて “Stop saying, ‘Don’t worry.” なども考えられます。
さらによく使う “See you!” には “Oh, don’t say. ‘See you’.” We might not be able to meet again...”「また会えるとは限らないから… 」 などですね。
さらにさらに、”Have a nice day!” には、”Don’t say, ‘Have a nice day.” Who desn’t want to?’”「誰がよい日を過ごしたくないと思ってるの?」
「こんな英語使わない」と思われるかもしれません。確かに使うことはほとんどないと思いますが、使う、使わないは別にして、ユニークな発想の表現だと思いませんか?
私はこんな英語が大好きで、いろんな状況を想像しながらよく一人で “Don’t say...” とぶつぶつと言っています。
また外国の友人と話す一つのトピックにもなりますし、そこからもっと別の表現を学んだりすることもあります。
冗談で本当に一度使ってみようかなあ・・・言った後すぐに “Sorry, but It’s just a joke.” と笑って言わなければなりませんが…。
でもジョーク好きの外国人も多いので、“ユーモアのある人” だと、きっと思ってくれると思います。