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【第101回】ディズニー映画「ベイマックス」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

ベイマックス: Hello, I am Baymax, your personal healthcare companion.「私はベイマックスケアロボットです」
タダシ: It works. It works! This is amazing! You... you work! I knew it! I knew it! I knew it. I knew it. Oh, you work. I can't believe it! I can't... Okay. All right, big moment, here. Scan me.「成功した。うまく行ったんだ。もうサイコー。成功するとわかってた。まだ信じられない。決定的瞬間だ。スキャンして」

「ベイマックス」

I knew it.
直訳は「私はそれを知っていた」です。これでも言わんとすることは伝わってきますが、「こうなると前からわかっていたよ」と予想していたことが当たった場合などに用いられます。

このシーンでは、新型ロボットの開発に苦労していたタダシが遂に完成させたという設定で、「そうだろ?(成功するのはわかってたんだ)」と喜びを爆発させたのです。

I knew it. を4回連続で言ってることからも、その喜びの強さが伝わってきます。

I knew it. の意味は文脈によっていろいろ考えられますが、よく使われるのが「やっぱりね」です。「やっぱり」というのは、思っていたことがその通りになるという意味ですね。ですから I knew it. がピッタリです。

他にも「でしょ?」や「だろ?」というのも日本語の口語表現で“親しみやすく“ていいのではないでしょうか。

A: He passed the exam!「彼、試験に合格したって!」
B: I knew it.  He studied very hard.「だろ?一生懸命勉強してたからね」

I knew it. はネガティブな文脈でも使います。

A: He didn’t show up.「彼来なかったよ」
B: I knew it.「やっぱり…」

I knew it. ー とても簡単な単語ばかりですが、案外使いづらいのではないでしょうか。「だろ?」「やっぱりね」って日本語でもよく使うので I knew it. も出番が多そうです。


ヒロ: Thank you, Baymax. I'm so sorry. I guess I'm not like my brother. 「ありがとう…。すまなかった。兄さんに恥ずかしい」

「ベイマックス」

I guess I'm not like my brother.
直訳は「僕は兄のようではないと思う」= 「僕は兄とは違うと思う」です。

ここでは、兄がどういう思いでベイマックスを作ったのかをヒロが知り、ヒロが目覚めるシーンです。

でも字幕の「兄さんに恥ずかしい」は文脈を考えた素晴らしい訳だと思います。

「私は〇〇とは違う」は I’m different from 〇〇. と直訳してもいいですが、この I’m not like 〇〇. も頭の引き出しに入れておきたいですね。

兄弟同士で比較されて嫌な思いをした時も、I am not like my brother ( sister ). ですね。


ワサビ: But maybe don't leave your team stranded on a spooky island next time. 「もう置き去りはイヤだぜ」

「ベイマックス」

Don’t leave your team stranded on a spooky island next time.
leave ... stranded 「…を置き去りにする」です。stranded = stuck で、「身動きがとれない」という意味です。

ここでは、ヒロが他のメンバー全員を島に残して、自分だけベイマックスと一緒に帰ってしまったので、”Don't leave your team stranded on a spooky island next time.”「次はあんたのチームを薄気味悪い島に置き去りにしないでよ」とワサビは言ったのです。

この stranded は物理的に置き去りにされるだけでなく、精神的な疎外感にも使えます。

I felt stranded at the party because I had no one to talk to.「話しかける人が誰もいなかったのでパーティーで疎外感を感じた(=置き去りにされた気分だった)」


男性: You almost got us all killed! 「最悪だ!」

「ベイマックス」

クレイが開発した瞬間移動装置が爆発した時に、そばにいる男性が叫んだシーンです。

字幕は「最悪だ!」ですが、直訳は「あんたは我々全員をほとんど殺しかけた」で、意訳すると「あんたのせいで皆んな死にかけたじゃないか」になります。

これを取り上げたのは、You almost killed us all. との違いを考えるためです。

たぶん後者の You almost killed … の方がよく使うのではと思います。次の2文を見て下さい。

① I got my hair cut.
② I cut my hair.

両方とも「髪の毛を切った」という意味では同じですが、“get … 過去分詞”は「…を〜してもらう」なので、①は「誰かに切ってもらった」で、②は「自分で切った」という違いがあります。

でも訳の違い以上に大切なのは、主語(ここでは I ) が及ぼす影響です。

②の文は“自分”が髪の毛を切ったので、自分に100%責任があります。

それに対して、①の文は、自分ではなく髪の毛を切った人(理髪店の人など)が影響を及ぼしています。

この”影響力“の違いがわかると、①You almost got us all killed! と ②You almost killed us all. の違いがわかると思います。

①は、あなたの行動が間接的に危険な状況を引き起こしたことを意味します。

②はあなたの行動そのものせいで皆が死にかけたことを示しています。

ですから、あなたがナイフなどを持って襲いかかったとしたら②が自然だと思います。

このシーンでは、クレイが直接というより、彼を中心に周りのものも一緒になって開発した瞬間移動装置が暴走したので、①の got を含む英語を使っているのだと推測できます。

もちろんスピーキングの段階ではどちらを使っても大丈夫ですが、違いを知ることによってより深く英語を理解できるので、私にとっては欠かせない作業です。

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