【第109回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
You'll soil it.
飛んでいる気球に突然ボーイスカウトのラッセルがやってきます。少し無理のある設定ですが、これからカールとラッセルの2人が中心になって物語が進んでいきます。
そして、ラッセルは気球の中のものを興味津々に触り始めます。その時、カールが言ったのがこの You’ll soil it. です。
soil は動詞で「…を汚す」という意味があります。名詞で「土」ですが、「土」と「汚す」の“つながり”は、なんとなくイメージとして理解できるのではないでしょうか。
土(soil)がついた手は洗うように、土はしばしば汚れや汚染の源として考えられるからです。
ただ、「汚れる」は make … dirty と dirty を使うのが一般的ではないでしょうか。そこでこの2つ ( soil ... と make ... dirty ) の違いを対話型AI リートンで調べてみました。
日本語でまとめると、「”soil ...” はよりひどく、永久的な汚れという意味合いを持つのに対し、”make it dirty” はカジュアルで広い意味で使われる」とのことです。
こういうニュアンスの違いも面白いです。でももっと面白いのが、この違いがわかると、カールが言った Don't touch that! You'll soil it. のニュアンスもわかるようになることです。
この it は「パラダイスの滝、伝説の地」と書かれた紙で、カールの亡き妻エリーが大切に持っていたものです。
ですからカールにとっては妻の大切な形見ともいうべきもので、絶対触られたくないから You’ll soil it. と言ったのだと推測できます。
make it dirty では弱すぎるのです。You’ll soil it. - 何気ない一言ですが、カールのエリーへの愛が詰まった言葉です。
jerk は He jerked the rope. のように「グイッと引っ張る」と言う意味があり、急に何かを動かす時に使える語です。
“急な動き” から何か落ち着きのなさを感じさせます。ですから Don’t jerk around. は 「動き回るな」なのですが、落ち着きなく( 時にはふざけて ) 動き回っているイメージがあります。
そこがニュートラルな Don’t move around. との違いです。子供が単に遊びで動き回っていて危ないと思った時は Don’t move around so much. の方が適切でしょう。
カールじいさんの言ったこの Don't jerk around so much, kid! は、ロープの先に結ばれて宙ぶらりんになって動き回っているラッセルを見て、カールは危険だと思いイライラしたのでしょう。ですから Don’t jerk around so much. ですね。
大風で気球が揺れた後、寝入ってしまったカールが目を覚ました時のシーンです。
ここで深掘りしたいのは、I can’t tell … です。意味は「…はわからない」で、I don’t know … と言い換えることができます。この2つの違いですが、ChatGPT で調べると、
まとめると、
I can’t tell where we are: どこにいるのかを判断できないという意味で、混乱や不明瞭さを示唆する。
I don’t know where we are: 単に現在地を知らないという意味で、混乱の有無は含まれていない。
要するに、I can’t tell … は理解や認識の難しさを強調し、I don’t know… は知識の欠如に焦点を当てています。
このシーンでは、気球がどこを飛んでいるのかわからなくなったカールが混乱していたので I can’t tell を使ったのでしょう。
単に知識不足だけなら I don’t know … でOKです。
普段、I don’t know … を使う方が圧倒的に多いのではないでしょうか。でもこの2つの違いがわかると、その中で I can’t tell … の方がより適切なものもあるかもしれません。
違いを知るだけでは実用的ではないので、実際に使い分けていくことが大切だと思います。