ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート67】
① We can keep working on that when we get back. Okay? 「司令部へ戻ったらまた練習しましょ」
「練習する」と言えば practice が思い出されますが、work on も使えます。work on… は「…に取り組む」という意味なので、練習したり、努力したりする場面で幅広く使える便利な表現です。
すぐにカッとなってしまう人には、
You should work on being patient.
「我慢強くなるように努力しなきゃ」
と戒めることができます。
「練習する」= practice、「努力する」= make an effort と一対一で覚えるのではなく、柔軟な表現力を養っていくことで、スピーキングやリスニングがより向上していきます。
② Excuse me, isn’t there any way that you can rush it?「何とかもっと急いでもらえない?」
ライリーの母親が引っ越しの荷物が届かないことにイライラしている場面です。
“Isn’t there any way that … ?” は「…する方法はないのですか?」という意味で、状況は厳しいとわかっていながらも、解決策を見つけたい時に苛立ちや絶望感を伴って使われる表現です。
“Isn’t there any way that we can fix this?” 「(難しいのはわかっているが) これを直す方法はないんですか?」
“Isn’t there any way that we can make it work?”「なんとかしてうまくいかないかな?」
Isn’t there any way that we can meet the deadline?”「締め切りに間に合わせる方法はないの?」
“Isn’t it possible that … ?” と言い換えることもできます。(多分こっちの方がよく知られていると思います)
③ We used to play tag and stuff.「よく鬼ごっこもしました」
1) play tag 「鬼ごっこをする」
play tag「鬼ごっこをする」の tag は服などについている「値札」で、動詞では「値札を付ける」です。
一つの単語には複数の意味を持つものがほとんどですが、その中には全くそれぞれの意味が結びつかないものもよくあります。(例えば、stand には「立つ」と「耐える」がある)
この tag の「値札を付ける」と「鬼ごっこ」も一見全く異なる意味に見えますが、よく考えると「鬼という値札を誰かにベタッと貼り付ける」と考えるとこの二つの意味が結びつきます。
2) and stuff
「…など」を表す英語ですが、「…など」は and so on や and so forth がよく知られているのではないでしょうか。
もうずいぶん前のことですが、アメリカ人の方が、日本人が and so on をよく使ってるのを聞いて、「アメリカ人は “and so on” をあまり使わなくて、”and stuff like that” をよく使う」と言ってたのが忘れられません。
それまで and so on がごく普通に使われていると思っていたので、はっきり言ってびっくりしました。でもそんな「えっ!!」と驚いたことは一生忘れないですね。
”驚き“って英語の定着には大切な要素だと思うので、“驚きを伴う” 英語学習をこれからも続けていきたいです。
④ Joy, we’re stuck down here. 「ここは想い出の捨て場」
“be stuck” で「動きが取れない」状態を指します。
I’m stuck in a traffic jam.「交通渋滞で動きが取れないよ」
down はここではまさしく「下に」の意味ですが、後ろに here があるので今いる場所が「下の方」であることを示しています。
このシーンでもジョイとビンボンは地面よりずっと下の“想い出の捨て場所” にいるので down here が使われています。( ただ、down は特に訳す必要はありません )
ですから、Joy, we’re stuck down here. は「この想い出の捨て場所で私たちは身動きがとれなくなっている」という意味になります。
be ( get ) stuck はこれからもいろんなところでお目にかかるかもしれない”使える“英語です。
⑤ We might as well be on another planet.「宇宙の遠い星も同然だ」
might as well … 「…も同然だ」、「…と大差ない」という意味で、We might as well be on another planet. は「私たちは他の惑星にいるのも同然だ (いるのと大差ない)」と訳せます。
他にも、”His room is so messy that he might as well be living in a garbage”.「彼の部屋はとても散らかっているので、ゴミ箱の中に住んでいるのと大差ない。」( ゴミ屋敷ですね )
might as well … には「…した方が良い」という意味もあります。私はこちらの方が馴染みがあるので、「…同然だ」の意味で出てきた時には一瞬「えっ!」と思ってしまいます…。
そんな時は、もっともっと多くの英語に接して、いろんな意味を瞬時に理解できるようにしておかなければならない、と再認識します。
“We’re out of milk, so we might as well go to the store and buy some.”「牛乳が切れているから、スーパーに行って買った方がいいかもしれない」