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【第76回】ディズニー映画「ベイマックス」の色々なシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
タダシ: Fred is the one who comes up with the nicknames.「フレッドが命名した」
ヒロ: Who's Fred?「どの人?」
フレッド: This guy, right here! Don't be alarmed. It's just a suit.「俺のことだよ。ビビるな。ただのかぶりものだよ」
① Fred is the one who comes up with the nicknames.
取り上げるイディオムは come up with ... で、意味は「…を思いつく」です。
このイディオムは、もしかしたら私が大学一年の時に出会った英語で、最初に「へーっ、そんな意味があるんだ」と感心してしまったイディオムかもしれません。
それまでは「思いつく」= think of... しかなかったからです。この英語がきっかけになっていろんなイディオムに興味を持ち始めたと言っても過言ではありません。
今でもこの英語を目にしたり、耳にするたびに昔のあの時の状況が目に浮かんできます。確かその時の英語が I came up with a good idea. 「私はよい考えを思いついた」だったと思います。
今でも自分にとって「意外!」と感じた英語表現に出会うとワクワクしてしまいます。
② Don't be alarmed. It's just a suit.
school mascot のかぶりものを着たフレッドがヒロを驚かせた場面です。
alarmed は「怖がって」「心配して」なので Don’t be alarmed. で「怖がらなくてもいいよ」です。
「驚く」や「心配する」といえば worry や surprised が一般的ですが、この alarmed も使える語彙として覚えておくと役に立つと思います。
Don’t be alarmed は、「恐怖や不安を感じないように」という意味合いがあり、何か不穏なことが起こってもパニックに陥らないようにというニュアンスがあるので、Don’t be surprised. よりも強い意味になります。
また It’s just a suit. は、字幕が「かぶりもの」になってるのは違和感がありませんか。なぜなら suit はスーツ(正装) だからです。
ある意味、かぶりものと正装のスーツは反対のもののように見えます。オンライン辞典の英辞郎に suit の定義として
〔特定の目的に合った〕服、スーツ◆参考 spacesuit ; diving suit
となっていました。
確かにdiving suit もダイビングという特定の目的に合った服です。同じように mascot suit もマスコット用の服です。
ですから、このフレッドが言った It’s just a suit. は It’s just a mascot suit. の略と考えれば納得がいきます。英語ってやっぱり難しいですね…。でも面白い!
フレッド: I've been trying to get Honey to develop a formula, that can turn me into a fire-breathing lizard at will. But she says that's "not science."「“火を噴くトカゲ”に変身したいが…却下された」
少し長めの英語ですが、直訳は「ずっとハニーに頼んで、自在に ( at will ) 火を吹くトカゲ ( a fire-breathing lizard ) に変身できる薬を作って ( develop a formula ) もらおうとしてるんだ。」です。
get (人) to ... で「(人)に…してもらう」という表現なので、get Honey to... の部分は、「ハニーに…してもらう」という意味になります。
また、formula は「公式・式」なので develop a formula で、「公式を開発する」ですが、これが医学の分野で使われると「薬の調合」という公式とは違う意味で使われます。
これは、薬を調合するには材料の組み合わせという「公式」に則って進めていく、と考えれば「公式」と「薬の調合」が結びつくのでは、と思います。
最後に、at will は「自由自在に」です。will は「意思」なので「(自らの)意思で」と考えればこれも納得がいきます。
When you finish the exam, you may leave the room at will. 「テストが終わったら、自由に部屋を出ていいよ。」
ヒロ: So, what have you been working on? 「兄さんの研究は?」
タダシ: This is what I've been working on.「これがオレの研究だ」
work on…「…に取り組む」はよく使われる熟語です。字幕は「兄さんの研究は?」ですが、直訳は「兄さんはずっと何に取り組んでるの?」です。
また二つ目のタダシのセリフは、直訳は「それが僕がずっと取り組んできたことだ」です。
You should work on your assignments right now. 「今すぐに宿題せなあかんよ」
work on ... はとてもよく使うので使えるようにしておきたいおきたい表現です。
タダシ: I'll show you.「見るか?」
ヒロ: Duct tape? I hate to break it to you, bro. Already been invented. Hey! Dude! Ow! 「粘着テープ?とっくに発明されてる。痛いだろ!」
I hate to break it to you.
字幕には訳されていませんが、意味は「残念ながら言わなければいけない」=「こんなこと言いたくないけど」とネガティブなことを相手に伝える時のクッションとして使います。
breaking news「速報」という語句がありますが、このbreaking には次のMerriam-Webster英英辞典にあるように「明るみに出る」という意味があります。
of news : to become publicly known
ですから I hate to break it to you. は「あなたにそれを明らかにするのは嫌です(が)」というのが直訳です。
この break を私は「何かを壊して ( break )、その中から取り出す」=「明るみにする」と覚えておけば忘れにくくなると思います。