【第100回】ディズニー映画「ベイマックス」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
enhanced scanner
「高性能 (高機能)スキャナー」のことです。
enhance [ enhǽns ] は「強化する」「高める」で、次のような使い方があります。
The school rules must be enhanced to keep things in order.「秩序を守るために校則を強化する必要がある」
ですから、enhanced scannerは「(性能が)強化されたスキャナー」のことです。
「性能が強化された」というのは、厳密には高性能とは限りませんが、字幕としてはわかりやすい「高性能」にしたのだと思います。
ちなみに、「高性能」そのものは、high-performance です。
This high-performance laptop is perfect for gaming and video editing.「この高性能なノートパソコンはビデオ編集に最適です」
This isn't part of the plan.
これは、日本語字幕「話が違う」が素晴らしかったので取り上げました。
直訳は「これは計画の一部ではない」です。「これ」というのはヒロがマスクの男を“殺そうとした”ことです。
計画の段階では、その男を捕まえるだけだったのです。やりすぎですね。
直訳でもわかりますが、ずっと簡潔な日本語の口語表現が、字幕の「話が違う」です。言ってる人の感情が伝わってくるいい日本語です。
「話が違う」を、私はいつも This is not what I heard.「これは私が聞いてたものではない」という英語で表していましたが、 This is not part of the plan. もどんどん使いたいですね。
ただ、This is not part of the plan. は、“計画していたものとは違う”ということを意味するのに対し、This is not what I heard. は、計画だけでなく、単に誰かが言ってたものと違うという幅広い意味でも使えます。
データカードを入れる箇所を、ベイマックスが開けてくれないことにヒロが苛立ちます。
Open! と Just open!
この2つは似ていますが、命令形の前に “just” をつけると苛立ちを表すことができます。
ヒロが言った Just open! は「つべこべ言わずに開けりゃあいいんだよ」という感じですね。字幕の「早く開けろ」も簡潔で、かつ感情も表れていていいですね。
初めにベイマックスに “Open!” と言っても開けなかったので、次は苛立ちを込めて “Just open!” と言ったのだと思います。
このjust を使った表現に、Just do it! があります。
顔をしかめて言うと、 「つべこべ言わずにやりなさい!」です。
Do it. だけだと「それをやりなさい」とニュートラルな表現ですが、just をつけるだけでイライラ感が出てきます。これも英語の面白いところですね。
ただ Just do it. も優しく言うと「やってみてよ」と躊躇する人を励ます表現になります。「やっちゃえ、やっちゃえ」というのはどうでしょうか。相手の気持ちを和らげる時に言いませんか?
Just をつけるだけで伝えるニュアンスが変わるなんてホント面白いですね!
タダシがベイマックスを作るのに失敗を繰り返し、遂に84回目のテストです…。
① I'm not giving up on you.「諦めないぞ」
これは、別のシーンで、ヒロが発明品を考えるのを諦めようとした際にタダシが使ったのと同じ表現です。今回の you はベイマックスのことです。
一度出てきた表現に再び出会った時って、嬉しさ倍増です。3回目になるとさらにうれしさが増します!( 私だけかもしれませんが… )
同じ表現や語句に出会えば出会うほど英語は定着していきます。間違いないですね…。
② What do you say?
「どう思う?」という相手に意見を求める疑問文ですが、「どう思う?」は、What do you think? がよく使われます。というよりほとんど What do you think? ではないでしょうか。
この2つを使いこなすには、その違いを知ることが大切です。
What do you think? は「あなたの意見」を求めています。
A: We are talking about our new school rule. What do you think? 「新たな校則について話していますが、どう思いますか?」
B: I agree with that because … 「それに賛成です。なぜなら…」
と“自分の意見”を言う場合に使うのが一般的です。
それに対して What do you say? は、相手に決定( yes か no ) や”同意“を求める疑問文です。
A: We could grab pizza for lunch. What do you say? 「昼食にピザ食べようか。どう?」
B: Yeah, thay’s a good idea.「いいね。そうしよう」
相手に( 具体的な意見ではなく ) Yes か No を求めてるのですが、Yes (同意)を期待して What do you say? と聞く時もあります。
ですから、軽く相手の同意を求めたりしたいときには、What do you think? より What do you say? の方がより自然です。
例えば、オシャレな服を試着して、友人に What do you say?「どう?」と聞く時には、Yes. を求めてる場合が多いでしょう。
でも、もし友人に試着した服の“意見”を求めるなら What do you think? ですね。この2つ似てると言えば似てるのですが、話し手の意図が違うのです。
このタダシが言った What do you say, big guy? も失敗を繰り返して臨んだ84回目の実験なので、ベイマックスに「上手くいった(Yes) と言って」という意味合いがあるのだと思います。
字幕も「今回はどうだ?」なので、「上手くいったよ」という答えを期待しているのでしょう。ニュアンスの違い、最高ですね…