見出し画像

【第119回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

マンツ: Having guests is a delight! More often I get thieves trying to steal what is rightfully mine.「お客は“喜び”だ。実は私の発見を盗みに泥棒がやってくる」
カール: No...
マンツ: They called me a fraud, those... But once I bring back this creature, my name will be cleared. 「私はペテン師と呼ばれた。あの鳥を持ち帰れば汚名は晴れる
< 巨大な鳥の模型を見上げる >
マンツ: Beautiful, isn't it? Oh, I've spent a lifetime tracking it. Sometimes, years go by between seeings.  「見事な骨だろ?この鳥を追って数十年…。時々その姿を目撃しては何年か過ぎるという日々」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

① But once I bring back this creature, my name will be cleared.
ポイントになる英語は my name will be cleared です。直訳は「自分の名前をきれいにする ( clear )」ですが、「名前をきれいにする」というのは「元々汚れていた名前から汚れをとる」ととらえることができます。

汚れた名前とは「それまで受けていた非難や疑惑」と解釈できます。そこから clear one’s name は、「汚名を晴らす」、「悪い評判を払拭する」という意味になります。

I needed to clear my name. 「私は疑いを晴らす必要があった」

② I've spent a lifetime tracking it. Sometimes, years go by between seeings.
この years go by between seeings. はとても英語らしい表現で、日本語の思考では理解するのが難しいかもしれません。

感動するほど英語らしいです… ( ちょっと大袈裟 ですが…) それはどの部分かというと、between seeings です。

between はbetween A  and B「A と B の間」で使われるのが一般的です。

ですから between seeings は between seeing it and seeing it next time「それ(巨大な鳥)に会うのと次にそれに会うまでの間」、すなわち「次に鳥に会うまで」と解釈できます。

between seeingsseeings が複数形になっているのもポイントです。普通は seeing は複数にならないのですが、ここでは苦肉の策(?)ですね。動名詞 (seeing) なので名詞扱いで s をつけているのだと推測できます。

years go by が前についているので、「一度それに会って次会うまでに数年かかる」となります。それだけ目撃するのが珍しい鳥なのです。

もし友人と喧嘩して何日間か会話をしなかったら、

Days went by between our conversations after the argument. 「喧嘩の後、会話のない日が続いた」

と言えます。between our conversations は「会話して次の会話までの間」のことです。

between seeings ー すごい英語表現だと思いませんか?



カール: Well, it's been a wonderful evening, but we'd better be going.「楽しかったよ。そろそろ行かねば」
マンツ: You're not leaving. 「帰るのか?」
カール: We don't want to take advantage of your hospitality. Come on, Russell. おもてなしに甘えるわけには…。行こう」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

You're not leaving.
直訳は「君は出て行かない」ですが、この日本語は「君は出て行かない。(そうだろ?)」という意味にもなります。淡々とゆっくりいうとゾッとするかもしれません。

英語も同じで、You’re not leaving. と否定形でいうと Don’t leave. や You’re not allowed to leave.「出ていくことを許されない」と同じ意味として使われることがあります。

字幕の「帰るのか?」も裏を返せば「帰っちゃダメだろ」ですね。この否定が命令になる表現もホント面白いですね。

他にも否定が命令調になる表現は、いろいろ考えられます。
You are not going anywhere. 「どこにも行かせないよ」
You’re not doing that. 「そんなことさせないから」
You’re not having that. 「それあげないよ。」


We don't want to take advantage of your hospitality.
take advantage of ... は「…を巧みに利用する」という意味なので、「あなたのもてなしを(巧みに)利用したくない」が直訳です。これを取り上げたのは、いろんな日本語訳が考えられる英語表現だからです。

まず字幕にあるように「あなたのもてなしに甘えるわけにはいかない」です。“甘えるわけにはいかない”ってとても日本語らしい表現ですね。

“甘える”という言葉を少し変えて、「そこまで甘えるわけにはいかないので…」や「そんなに甘えられないので…」 などでもよく、日本語としてもよく使われるのではないでしょうか。

「…を巧みに利用する」を「…に甘えたくない」に変換するのは至難の業ではないでしょうか。ぜひ覚えておきたいですね。

また「あまりご迷惑をかけたくないので…」と思い切って意訳してもいいかもしれません。



マンツ: You really must stay! I insist! We have so much more to talk about! 「ぜひゆっくりしてってくれ。いろいろ話したい」

「カールじいさんの空飛ぶ家」

I insist!
「私は主張する!」が直訳ですが、そこから、相手が遠慮していたり、こちらの提案を相手が断ろうとしている時に、提案や申し出をぜひ受け入れてほしいという気持ちを伝える場面で使うのがこの I insist! です。

セリフの “You really must stay! I insist!” は「本当に(ここに)いて欲しいんだ。いいから、いいから!」が訳の一例です。

他にも「遠慮しないで!」や「絶対だからね!」などでもいいと思います。

A: You don’t have to... 「そこまでしなくていいよ」
B: I insist! I’d be happy to help you.「大丈夫、大丈夫。喜んで手伝うよ」

この insist は「主張する」で固そうな語ですが、こうやって日常で普通に使われているのは何か不思議な感じがします。

いいなと思ったら応援しよう!