ロバーツ監督が大谷選手を前にしてかけた言葉の使い方に「えっ!」と思ったこと。
先日、ドジャースの大谷選手がブレーブス戦で2本ホームランを打ちましたが、その試合後に記者団に囲まれてインタビューを受けていた時に、突然ロバーツ監督が現れ、大谷選手からポルシェのミニカーをもらったことを話している模様がニュースで流れていました。
ロバート監督はその中で次のように言ったのです。
この場面を見られた方も多いのではと思うのですが、意味は「彼は、日本生まれの選手が持っているドジャースのホームラン記録で、僕を抜いたんだ。」です。この英語を聞いた時、私は太字の英語の中の 「〜を抜いた」の passed に違和感を抱きました。
文脈からその意味はすぐにわかったのですが、「えっ、passed ?」と一瞬思ってしまいました。(ネイティブの英語にケチつけるなんて傲慢だと思わないでください。)
なぜ「えっ!」と思ったかと言うと、「(記録などを)を超える、抜く」は surpass だと勝手に思っていたからです。
pass には「(試験に)合格する」や「(場所を)通り過ぎる」というイメージしかありませんでした。
辞書を引いてみると「通過する」や「(前方の〜を)追い越す」という意味が最初にあげられおり、そこから記録を抜くという意味が出てきたと思うのですが、これまでそんな英語に出会わなかったのが本当のところです。
そのために多分違和感を覚えたのかもしれませんが、違和感を覚えたら私はすることがあります。それは、すぐに直接ネイティブに聞くか、ネットで調べるか、対話型 AI に聞くかのいずれかです。ちょっと前までは AI という選択肢がなかったのでネイティブかネットのどちらかでしたが、今は AI という強い味方がいます。しかも1人(?)ではなく、5人も6人もいるのです。これらの強い味方を使わない手はありません。
近くにネイティブがいなかったので、pass についてChatGPT に尋ねました。
Q: He passed me for the record I made last year. Does it make sense?
( He passed me for the record I made last year.意味が通じますか?)
「去年出した記録を抜かれた」という意味に聞こえますが、と It sounds like ... (...のように聞こえる)と答えているのが面白いです。ChatGPT も pass の意味に少し戸惑ったのではないでしょうか。
次は、pass と surpassのどちらが自然に聞こえるかを尋ねた時の答えです。
どちらも自然でよく使われるが、surpass は、フォーマルで正確であるように聞こえるかもしれませんが、pass は会話調に聞こえるらしいです。
すなわち、surpass はフォーマルで正確性があるのに対して、pass は会話調であるとの回答ですが、precise (正確な)なのはやはり surpass のようです。
さらに複数の AI に尋ねてみました。
surpass は一般的に「誰かの記録を抜いた」という意味で使われるので、この文脈では、「surpassed」を使う方が自然であるとのことです。
“passed”は場合によっては使えますが、”surpassed”がより具体的で適切です。
“Surpass” は彼女が私より優れた成績を収めたことを直接示し、より強い達成感を持たせます。
一方、“pass” は多義的で曖昧で、彼女が単に私の前を通過したことを意味する可能性があります。
どちらも、この文脈では、surpass の方がより自然だと言っています。私が抱いた違和感に意味があったということが知れてとても嬉しく思います。
「違和感を感じたら時間をあけずにすぐに調べる」ー これからも続けていきたいですね。
Thanks for reading my article. I hope you liked it.