【第106回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
“〇〇, oh, brother!” のように、oh, brother を語尾につけると「ああ、もう!」、「なんだよ!」という意味になり、何かに呆れたり、フラストレーションを吐き出す時に使われます。
ここでは、カール爺さんが老人ホーム ( 名前はSHADY OAKS, Retirement Village ) への入居をすすめる手紙を見た時に「誰が老人ホームなんかに行くものか」という気持ちを oh, brother で表しています。
この表現はこれでいいのですが、一つ疑問が生まれました。それは、oh, brother の代わりに oh, sister では同じ意味を表すことができないかということです。
しょーもない(!?)ことをいつも考えてしまいますが、一度考えると頭から離れなくなってしまいます…。
そこで登場するのが対話型AI です。
まとめると、「oh, brother! は、驚きや呆れた感情を表す定番の表現で、oh, sister! にすると意味が伝わりにくく、不自然に聞こえる。そのため、自然に聞かせたいなら oh, brother! を使うのがベストである」です。
予想していた通り、やはり oh, sister は通じないみたいです。でも brother が通じて sister が通じないのはジェンダー差別にならないのかと思ってしまいます…。近年このようなことはとてもシビアなので…。
あともう一つ思ったことは、こんな質問は対話型AI でなければ答えを導けないのではないかということです。
Google検索などではなかなかヒットしないのではないでしょうか。対話型AI の素晴らしさを実感してしまいます。でもいつも気をつけているのは、何かを調べる時、できるだけ複数の対話型AI を使うようにしていることです。実際に AI によって意見が分かれることもあります。(これはちょっと辛いです…) AI も完璧じゃないので、複数のAI を活用するのは大切だと思います。
カールじいさんは立ち退きを迫られています。
① just to let you know,
直訳は「あなたに知らせておくと」です。そこから「念のために言っておくと」や「ちなみに」という意味になります。
Just to let you know, I’ll be out of town this weekend.「念のために言っておくけど、今週末、私は留守にします。」
こんな表現も覚えておくと役にたつことが多いと思います。
② my boss will be happy to take this whole place off your hand.
take … off your hand の直訳は「…をあなたの手から取り去る」です。すなわち、「…を引き取る」という意味になり、相手の所有物が話者の手に渡る時に使える表現です。
off your hand の off は「分離」を表すので、何かがあなたの手から分離するというイメージでとらえるとわかりやすいと思います。
If you don’t need that old bike anymore, I can take it off your hands. 「その古い自転車、もう使わないなら引き取ってあげるよ。」
③ I'll take that as a no.
直訳は「私はそれをノーとして受け取る」で、この直訳でも何となく伝わりますが、端的に言うと、「ノーでいいんだね」です。
すなわち、相手がはっきりと口で「ノー」といわずに、態度やジェスチャーなどでノーの意思を示した時にこの I'll take that as a no. が使えます。
このシーンでも、立ち退きに高額のお金を出すと言った作業員の顔めがけて、落ち葉バキュームの突風を吹きかけたカールに対して作業員はすぐに「ノー」だと悟り、 “I'll take that as a no.” と言ったのです。
次のような会話はどうでしょうか。
A: He said it was a little difficult to do that…「ちょっと難しいです、と彼は言ったんです」
B: Then you should take it as a no.「じゃあ、それは「ノー」だと受け取るべきだよ」
海外から日本に来た多くの人が気づくのが、日本人は「ちょっと難しいですね」と言ったらそれは「ノー」(=できない)ということである、ということです。
確かにそうですが、「それはちょっと…」と“難しい”を省略して言い、沈黙した場合も「ノー」の場合が多いですね。
昔「ノーと言わない日本人」という本が売れたのを思い出します。だいぶ変わってきていると思いますが、やはり今でもノーというのはできるだけ避けて、それ以外の言葉や態度で相手に「ノー」を伝えるのは日本ではよくあるのではないでしょうか。
ある文化では、首を横に振ると Yes. を意味するらしいのですが、そんな時には I take it as a yes. ですね。
少し後のシーンで、カールと作業員の同じようなやり取りが次のようにありました。
文脈は、カールが「ワシが死んだらこの家をくれてやる」と言ったことに対する作業員のユーモア溢れる返答 I’ll take that as a “maybe”です。
意味は、「それは『もしかしたらOK』ってことですね」です。
「死んだらな!」というカールの言葉を受けて、作業員はカールが高齢であることを踏まえて、「もしかしたらその時が近いかも」と軽くからかう意図で「たぶんOK」という皮肉な返しをしたのでしょう。
take as a no ( maybe ). ー ユニークな表現で使えそうです。