【第103回】ディズニー映画「ベイマックス」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
今回で「ベイマックス」の投稿は終わりです。最初に考えていたより、取り上げる英語表現が多くなってしまいました。少しでも「面白い表現だ!」「使える表現だ!」と思ったら立ち止まってしまい次に進めなくなってしまいました…でも本当に書くのが楽しかったです…。
それでは「ベイマックス」で使われている英語を取り上げていきたいと思います。
fail は「失敗する」なので、“〇〇 is failing.”「〇〇がうまくいっていない」が基本の意味ですが、状況によって色々と訳は変わります。
でも「何かがおかしい」や「何かが悪化している」というイメージは変わらないので、いろんな場面で使えます。
ネットの接続がうまくいかない時、
The connection is failing.「接続が不安定だ」
計画通りいってない時、
Our plan is failing.「計画がうまくいっていない」
なかなか覚えられないと感じた時、
My memory is failing.「記憶力が衰えている」
身体の調子がすぐれないと感じた時、
My health is failing.「健康が悪化している」
ただ、この fail で一点注意しなければいけないことは、fail は元々「失敗する」という意味なので、かなり強いニュアンスが伴うということです。
ですから、My memory ( health ) is failing. は、My memory ( health ) is getting worse. と言い換えることも可能ですが、failing を使った方が、記憶力や健康がかなり悪化しています。
ですから、少し記憶力が落ちてきただけの時は、My memory is failing. ではなく My memory is getting worse. を使うのが普通です。
クレイが言った The containment field is failing.は「磁場(The containment field ) がかなり弱ってきている」と読み取れます。
この fail は「失敗する」という意味で使う場合が多いので、その意味に固執してしまうと、上に挙げた「うまくいっていない」や「悪化している」という意味が発想として思いつかなくなるので注意が必要だと思います。
“hyper- 〇〇” で「〇〇が過剰な」状態を表します。他の英語で表すと overly や excessively です。
ベイマックスが言った in hyper-sleep は「仮死状態」と字幕にはありますが、仮死状態というのは“ずっと眠っている状態” なので「過剰な睡眠状態にいる」=「仮死状態」なのです。
hyper- を使った例は次の通りです。
hyper-active「テンションがとても高い」(← 過剰にアクティブ)
hyper-sensitive 「神経過敏な」
hyper-aware「過剰に意識した」
hyper-critical「批判しすぎる」
最初の hyper-active は hyper だけでも「テンションの高さ」を表せます。
She’s hyper right now.「彼女は今、テンションがめっちゃ高い」
ちなみに「ハイテンション( high tension )」は個人の気分が高まるという意味では使わないので、He’s in high tension. は和製英語です。
high tension は次のように「緊張感の高さ」のことに使われます。
There was high tension in the room.「会場には高い緊張感が漂っていた」
What do you say, buddy?「そうだろ?」
これは以前のシーンで取り上げましたので復習になりますが、文脈的にピッタリの表現なので再度取り上げてみました。
What do you say? は相手の意見を具体的に求めようとする What do you think? と違って、相手の同意を求めるときによく使われます。
このヒロのセリフも「生きてる人がいれば助けに行くのが常識だろ?」と相手から Yes の返答を期待しているので What do you say? を使ったのです。
A: Let’s eat out tonight! What do you say?「今夜は外食にしようか。どうだ?」
B: Great! 「いいねえ!」
字幕の「そうだろ?」はそのニュアンスをよく表していると思います。