【第116回】ディズニー映画「カールじいさんの空飛ぶ家」の シーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。
Oh, well, you're a man of good taste.
taste はここでは「趣味」ではなく「(美的)センス」です。 a man of good taste で「センスのいい人」です。
ただ主語が女性(She) の場合は She is a woman of good taste. と “man” を”woman” に変えるか、She’s a person of good taste. のように person を使うのが普通です。
ただ、この a man ( woman ) of good taste はフォーマルな言い方で、「センスのいい人」は、もっとカジュアルな He ( She ) has good taste. を用いるのが普通です。
この “a man ( woman ) of ...” は次のようにいろいろと応用が可能です。
You’re a man ( woman ) of your word. 「約束を守る人」
You’re a man ( woman ) of action. 「行動力のある人」
You’re a man ( woman ) of few words. 「寡黙な人」
You’re a man ( woman ) of integrity. 「誠実な人」
「寡黙な人」は He’s a quiet man. でもいいですが、より強調したい時は、He is a man of few words. でバッチリ決まります。
探検家マンツが、自分の犬たちがカールらに失礼なことをしてないかたずねています。
① I hope they weren't too... rough on you.
be rough on … 「…に辛く当たる」です。このrough は、「乱暴なプレー」をカタカナで“ラフプレー”と言うので分かりやすいと思います。実際、rough play は正式な英語で通じます。
The referee considered it rough play. 「審判はそれをラフプレーとみなした」
rough on… の「辛く当たる」とrough play の「乱暴な」はイメージが重なりますね。
rough on の on は“接触”を表すので、「誰かに接触して乱暴する」ー すなわちこのマンツのセリフI hope they weren't too... rough on you. では、犬( they ) がカールらに襲いかかったり(接触)して乱暴しなかったことを願う、と解釈できます。
He’s too rough on us. 「彼私たちに厳しすぎる」
rough は「乱暴に接する」なので、これは今でいうパワハラに相当する表現だと思います。
それに対して He’s too strict on us. は、ルールや基準などに細かくこだわる“厳しさ”です。ただこの strict もブラック校則など程度によっては問題集されてますが…。
もう少しだけこの rough を“深掘り”してみたいと思います。
“ラフ” はカタカナで「気軽な」という意味があり、「ラフな格好でいいよ」のように言いますが、これを You can wear rough clothes. と言えるかどうか、Q&A サイトの HiNative に聞いてみました。アメリカ人からの回答です。
「“ラフな服 "とは、"ボロボロの服 "や "状態の悪い服(破れたり、穴が開いているなど)"のように思える」とのことで、日本語のラフな服、すなわち普段着とは少し違います。
普段着は「カジュアルな」をカタカナで使いますが、casual clothes についても HiNative に聞いてみたました。
「派手ではない服のこと。 普段着のような服」なので、casual clothes = 「普段着」で大丈夫のようです。
rough という単語ひとつ取ってもいろんな意味があって面白いです。
② Go ahead and pull your airship right next to mine. 「私の飛行船の横に君のを停めたまえ」
pull … next to 〜で「〜の隣に…をとめる」で、車などに使われる表現です。
pull は「引っ張る」ですが、「車を引っ張ってとめる」というイメージで考えれば、なぜここで pull が使われているか、理解できるのではないでしょうか。
pull を使った“車をとめる”表現をあげてみます。
I pulled over and took a break.「車をとめて休憩をとった」
He pulled into the garage.「彼はガレージに車を入れた」
She pulled up to school. 「彼女は学校にくるまをとめた」
これらの例文からわかるのは pull は「車をどこかまで運転して、そこにとめる」というイメージがあります。
stop a car は赤信号などで「その場に車を止める」という意味で使います。「止める」はいつも stop ではないというのがわかるだけでも英単語の引き出しが増えること間違いありません。